欧州でスマートテレビを巡る開発競争が活発化している。2011年9月2~7日に、ドイツ・ベルリンで開催された「IFA 2011」に最新動向を見た。

 スマートテレビ向けのサービス開発で中核技術の一つとなるEPGの配信に新規参入する企業もある。

 ソニー傘下の米Gracenote社は、インターネットを使ったEPG配信サービス「eyeQ」を公開した(図1)。放送番組やVOD(ビデオ・オンデマンド)、インターネット動画配信などのコンテンツを一括して検索できる他、ドラマや映画の出演者、監督などの情報から関連のある映像作品などを推薦するといった機能を備える。同社は今回のサービス開始に当たり、ソニーの英国法人が手掛けていた欧州最大のEPGサービス「tvtv」を買い取り、ドイツのミュンヘンに開発拠点を立ち上げた。

図1 Gracenote社のEPGサービスを使ったLoewe社のタブレット端末向けアプリ。Gracenote社は、欧州でEPGサービスに参入した。
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 Gracenote社は、これまで音楽コンテンツの楽曲情報のメタデータを配信するサービスを主に手掛けてきたが、スマートテレビ分野の盛り上がりを受けて、欧州を足掛かりにテレビ番組などにも配信サービスを拡大する。既にPhilips Electronics社や、ドイツの高級テレビ・メーカーのLoewe社がGracenote社のサービスの採用を明らかにした。

 タブレット端末とテレビの連携では、家庭内ネットワークでデジタル・コンテンツをやりとりする規格「Digital Living Network Alliance(DLNA)」が再び注目を集めている。DLNAを使い、無線LAN経由でタブレット端末とテレビを連携させる技術開発が活発だ。

タブレットとの連携に工夫

 ソニーは、タブレット端末に表示した映像や写真、音楽などを直感的な操作でテレビに移動させるユーザー・インタフェース(UI)技術を披露した。タブレット端末のタッチ・パネル上を指でテレビの方向になぞる操作で、あたかもコンテンツを飛ばしたようにテレビに表示することができる。

 今回ソニーは、家庭内の無線LANルータを介してコンテンツをタブレット端末からテレビに移動する仕組みを採用した。この際にコンテンツのやりとりに使う規格がDLNAだ。今後は機器同士を無線LANで直接つなぐ規格「Wi-Fi Direct」を使うことも視野に入れている。既に2011年に発売した無線LAN対応の液晶テレビでは、ファームウエアの更新で同規格への対応が進んでいるという。

 同様のUI技術は、シャープが2011年8月に日本で発売した液晶テレビでスマートフォンとの連携技術として採用している。ここにきて、海外のベンチャー企業による開発も活発で、テレビと携帯端末の連携で主流の機能になりそうだ。