情報処理推進機構(IPA)は5月24日、IT人材に関する調査報告書『IT人材白書2012~行動こそが未来を拓く 進むクラウド、動かぬ人材~』を発行した。この連載では、調査結果を抜粋しながら、ITpro読者にとって特に重要な話題を解説していく。

 第1回の今回は、IT企業そしてユーザー企業におけるIT人材の「量」と「質」、この両方に対する過不足感について見てみよう。

IT企業で強まる「量」の不足感

 最初に、IT企業におけるIT人材の「量」と「質」に対する過不足感の調査結果を紹介しよう。

 調査ではIT企業に対して「御社では、事業戦略上必要なIT人材を、現在、十分に確保できていますか。『量』と『質』の両面における御社の人材の過不足感として、当てはまる番号に○をつけてください」と質問している。選択肢は、「大幅に不足している」「やや不足している」「特に過不足はない」「やや過剰である(削減や職種転換などが必要)」の4つとなっている。

 「量」についての調査結果をまとめた図1を見ると、IT人材の量については、「大幅に不足している」と「やや不足している」の合計が、前回の2010年度調査に比べて約15%増加。IT人材の量に対する不足感がやや強まっている結果となった。

図1●IT企業における、IT人材の「量」に対する過不足感(過去5年間の変化)
図1●IT企業における、IT人材の「量」に対する過不足感(過去5年間の変化)

 裏にある事情については、この調査だけでは分からない。だが、2010年後半頃からスマートフォンやビッグデータなど市場を強く刺激する技術キーワードが登場していることを踏まえると、IT業界の景気回復の兆候を示していると言っていいだろう。