前回まで、OpenStackで構築するIaaS環境の構成について説明してきた。では、多様なコンポーネント、多数のノードからなるIaaS環境を、どのように構築すればよいのだろうか。

 多数の構成要素からなるIaaSは、構成機器一つ一つを手作業で設定し、運用していくのは現実的ではない。そこで、定義情報から構築を自動化する構成管理ツールなどを用いて、構築を行うのが一般的だ。ここではその一例として、オープンソースの構成管理ツール「Crowbar」を用いた構築方法を紹介する。

 Crowbarはサーバー上に種々の環境を自動構築するための構成管理ツールである。ネットワークブートおよびプロビジョニングの機能を統合し、サーバーの初期セットアップ(BIOSやRAID設定)から各種OSのインストール、ミドルウエアやアプリケーションの導入、運用監視ツールのセットアップに至るまで、一連の構築作業を自動化できる。

 Crowbarでは、環境構築に必要な「パッケージ」「オペレーション」「サービス依存関係」「設定ファイルテンプレート」などが、「Barclamp」という定義情報としてまとめられる。OpenStack向けのBarclampも提供されており、この定義情報を使えば、大規模なマルチホスト構成のIaaSの構築を効率化できる(図1)。

図1●構成管理ツール「Crowbar」によるOpenStack環境の構成管理
図1●構成管理ツール「Crowbar」によるOpenStack環境の構成管理
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