多くの経営幹部は今よりもっと大量のデータを欲している。だが大半の人は現時点でも生かし切れていない─。本書を今はやりのビッグデータの文脈で読み進めたら、中盤でこの言葉に行き当たった。

 本書によれば、膨大な情報が後から届くよりも、わずかばかりの的確な情報が事前に届いた方が大抵は有益であるという。ただしそこで必要とされるのが予測力であり、今や世の中の動きは速すぎて、企業は予測を基に先回りして顧客に対応できなければ生き残れない。数カ月後ではなく、「最初の2秒」で先を読めるかどうかが競争の勝敗を決める。本書では小売りや金融、通信などのケースを通し、先回りの実例を紹介する。

予測力

予測力
ケビン・メイニー/ヴィヴェック・ラナディヴェ共著
有賀 裕子訳
朝日新聞出版発行
1785円(税込)