世界第2位のパソコン・メーカーである中国Lenovo(聯想)社は、2012年4月、同社ブランドでは初となる液晶テレビを中国で発売した。通常のテレビ放送はもちろんのこと、インターネットに接続して動画配信サービスを利用できたり、アプリケーション・ソフトウエア(以下、アプリ)をダウンロードして使えたりする、いわゆる「スマートテレビ」である。

 Lenovo社が発売したのは、画面サイズが55型と42型の合計4機種(図1)。その仕様は、テレビとしては“初めて尽くし”であることを強調している。まずプロセサは、米Qualcomm社のデュアルコア品を搭載する。そしてソフトウエア基盤は米Google社の「Android 4.0」で、いずれもテレビでは世界で初めてとしている。

図1 スマートテレビで新規参入を果たす
Lenovo社は、Qualcomm社のプロセサを搭載したスマートテレビを開発し、中国のテレビ市場に参入した。(a)は、2012年1月にCESで発表した「K91」。(b)は同社のスマートテレビのラインアップ。 (a)Lenovo社の「K91」 (b)スマートテレビのラインアップ
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 同社がこのテレビを発表したのは、米国ラスベガスで2012年1月に開催された、世界最大の家電展示会「2012 International CES」でのことだった。この発表は、家電業界関係者に驚きをもって迎えられた。

 なぜなら、日本や米国などではあまりの価格競争の厳しさに「誰ももうからない」とまで言われているテレビ事業に、これからあえて参入すると宣言したからである。Lenovo社の参入は、中国のスマートテレビに大きな市場性があることを世界に知らしめる格好になった。