前回で紹介したアンケートの自由記入欄にいただいた読者からのご意見を紹介したい。賛成から反対、その枠に収まらないものまで、実に多くのご意見をいただいた。

 大きく、「BYODに賛成」、「条件付きで賛成」、「反対」、「デバイスは企業が支給すべき」、そして賛成・反対に分けられない「様々な意見」というくくりでまとめてみた。

 記者はすべての組織でBYODが導入できるとは考えていない。業務内容や組織形態によっては、BYODが適していない場合も当然あるだろう。本連載の後半ではBYODを導入した企業の事例を紹介するが、「BYODを検討した上で導入してない」企業の取材は今回できていない。その意味で、反対のご意見や、様々なご意見は極めて貴重なものだと考えている。

 賛成意見では「効率アップになる」、「便利」、「無視し続けることはできない」、「会社支給のデバイスはスペックが低い」といった意見をいただいた。

 条件付きで賛成という意見では「ルールの制定と順守」、「デバイスにデータが残らない・消去できる仕組み」、「MDM」、「シンクライアントや仮想デスクトップ」などを条件とすべきという声が寄せられた。

 反対意見で理由としてあげられたのは「セキュリティが確保できない」、「公私の区別がなくなり、プライベートな時間に労働することになる」、「私物デバイスのデータを監視されたり消去されたくない」、「会社支給のデバイスでさえ管理できていないのに、私物が管理できるはずがない」といったポイントだ。

 反対意見のうちだが、業務で使用するデバイスは企業が支給するのが本来の姿という声も多かった。

 またその他の様々な意見として「まだセキュリティが確保できれば導入したいが見極められない」、「メリットとデメリットの両面がある」、「情報が不足している」、「管理を厳しくすると効率が落ちるため悩ましい」などが寄せられた(「私物デバイスを使いたい」という選択肢を選んだ方のご意見でも、記述内容によってこちらにまとめた)。

 以下、実際の意見を紹介する。

自分のデバイスを使いたい

 ふたをして無視し続けることはできない。であれば、早く前向きに検討すべき。鉄板完璧なものなどITに限らずあるはずがない(原発を見よ)。何か穴があると徹底攻撃する社会の風潮は変えていかないといけない。

 企業が様々なデバイスを用意するのは大変なので、私物デバイス利用に今後はシフトしていくと思う。

 スマートフォンやタブレット端末の進歩の速さを考えると、企業が購入して配布するより、私物を使ってもらう方が現実的だろう。現在はデータ通信費用がパケット定額などで上限が決まっているので、個人の追加負担がないので問題ないが、もし今後従量課金へ変われば、見直しが必要となるかもしれない。

 遅かれ早かれ認められていく方向になっていくと思う。

 社内的には問題なし。

 制度やシステムそのものが利用実態に追いついていない。個人のアイデアなど運用でカバーしたり、新しいアプリの情報を入手し、試しながら、なんとか、会社の提供するITサービスを利用している。様々な制限があるのはやむを得ないとは思うが、もう少し早い対応で追いついて来てほしい。

 セキュリティ面が担保できれば自由に使わせてよい。

 私物デバイスの利用により業務形態が多様化され効率アップにつながる。

 まだ管理が複雑で、穴もあるように思います。チャレンジ段階。が、気に入った文房具で仕事できることがモチベーションの増加につながるので進んでほしいところですね。

 会社からの支給の場合、PCなどは機種の選択ができないが、私物であれば自由で良い。また、HDDやメモリー容量も自分に必要な分、搭載できるので快適に利用可能。つまり不必要なストレスが無くなる。

 セキュリティの問題を解決できれば使ってみたいと思います。

 非常に便利。コンシューマー向けのITの進歩が非常に早い中で、企業IT部門の対応が重要。

 情報漏洩を考慮すると、使いたくはない。が、支給されるデバイス(PC)などは重いなど色々あるので、ある程度制限はあるが自分が普段から使っているデバイスで業務を行いたい。

 私物に限らず、特にスマートデバイスの利用については、危険性だけが騒がれる傾向があり、肝心の利用したときの便利さ、生産性の向上、時間の有効活用、快適性などが語られる事が少なく感じます。安全性を優先して、利便性を考慮しないようになると、結果的にスマホ利用でもガラパゴス化しないか心配です。

 社内メールを私物デバイスで処理できるだけで、仕事効率はかなり上がると思う。

 世の中の流れとして大半の組織では認めざるを得ないと思われる。

 会社支給のPCでは処理能力が低く、私物のほうが快適に利用できる。

 特に緊急時の場合には、一番連絡がつきやすいのは私物デバイスであると確信する。休日に会社配布の携帯に「緊急訓練メール」を発信したところ、上層部にほとんど通じなかった。

 思い切って、完全自由化的な環境にしてはどうか(個人負担)。そのかわりにセキュリティ関連に予算を投入。

 進んでほしい。

 働き方の多様化、働く者のモチベーション向上のために、企業はBYODが利用可能な環境を整える必要がある、近い将来当社でも対応できるように準備したい。

 自分の使いたい端末を自由を選択できることのメリットは大きい。

 自宅のPCで会社のネットワークに接続でき、すべての資料にアクセス可能であれば、突発的な在宅勤務にも柔軟に対応でき、より効率的な働き方ができると思う。今は、会社のPCを持って帰らなければいけないので在宅勤務をすると事前にわかっているときはよいがそうでないときにはできない。

 メールやアポなどを外出先や自宅で確認できるのは非常に便利であり、大規模災害時などは在宅勤務による事業継続にも寄与するため、基本的には推進してほしい。一方で、情報漏洩に対する対策がシビアであることに加え、サービスの提供側としては多種多様なプラットフォームを意識する必要がでてくることから、社内システムにもBtoCレベルの水準が要求されることとなり、開発・保守が困難になることが予想される。それを防ぐには、会社が(ある程度決まった)端末を支給するという形でのBYODが理想的ではないか。

 できる範囲で使っても良い。

 私物デバイスは有効活用されるべきだ。

 支給されている環境が良くなければ、生産性を上げるために私物デバイスを使うことは良いとは思う。禁止するのであれば、支給する環境を良くしてほしい。

 記事にもある通り、スマートデバイスの2台持ちは煩雑だと思う。セキュリティリスクを踏まえた上で、一刻も早く私物デバイスが利用できるようになってほしい。

 広まるべき。仕事の効率が格段にアップする。効率がアップするということは(個々の会社の企業風土にもよるかもしれないが)従業員の勤務環境も、時短などに結びつき、良くなると思う。

 利用できる環境を整備した方が従業員のモチベーションアップにつながると思う。

 歓迎。

 そもそもデバイスを私有しているケースも相当あるはず。

 セキュリティ、制限は必要と思われるが、基本的には私物利用は必要である。

 セキュリティ上難しい面もあるが、私物で高スペックの機器で業務効率化したい。

 完全に自由な利用。

 使い慣れたものを使える環境こそ効率向上の有力な武器である。思いつきの不正事案対策の結果システムの効用を殺ぐようなことは是非見直す必要がある。

 自分のノートブックを使いたいがMacなのでWindowsを入れないといけない。

 個人デバイスの利用により「ワクワク」や「カイテキ」を享受できる環境下にあることが望みです。

 会社のセキュリティポリシーより、自身のポリシーの方がきついため、社内のネットワークにあまり接続したくないのが現状です。3GやLTE回線が使えれば、業務は遂行できるため、社内利用を解禁してほしい。

 パソコンなどの端末はなんでもいい時代、スーツや鞄と同じく、自分の好きなものを自分自身で用意して必要なシステムを利用しよう。パソコンも使い捨ての時代になりました。

 これだけスマートフォンが普及し、かつ、新機種がでる期間が短くなっている現在、BYODは避けて通れないと思う。

 2台持ちをする必要はなく便利です。紛失リスクも自分の携帯なので、減ると思います。

 時間の短縮や長時間労働の規制により外部けらの社内システムの利用は拡大する この傾向は加速する各種デバイスを社員に配布することはコストの面で無理があるので必然的にBYODに取り込むことになる。

 BYODを認めないことの最大の問題は、端末でアクセスできるネットワーク(回線やサービスとコネクションの両方)が分断され、両方にまたがる形で存在するはずの個々人の脳力(ナレッジ)と人脈(ソーシャルキャピタル)が半分しか活用できていないことだと思う。経費削減、隙間時間の活用などが導入の理由として必要だが、最大の効果は、多分、社員一人一人のエンパワメントに現れる。

 私物による業務遂行を希望しており、実施している。

 しない理由が解らない。ガチガチにできない事を増やすばかりの従来のシステム管理は正直ただのムダを生む装置になっていると思う。

 私物デバイスを使用したいが、セキュリティの問題で情報システム室が使用を禁止している。非常にもったいない限りだ。無線LANが99%遊んでいる状態である。

 今後のICT利用を見通すと昔言われたユビキタスの時代がまさに到来しており、これに応じたビジネス活動が競争優位の時代になると思われる。日本は内部統制、情報漏洩に厳しい対応をとる傾向があり、グローバルでの競争に遅れないよう、BYOD環境整備が早急に必要と考える。