スター・チャンネルとジュピターテレコム(J:COM)は2012年3月23日に、J:COM加入者を対象に「スター・チャンネル データ放送(198ch)」を開始した(関連記事)。このサービスはデータ放送とケーブルテレビ回線経由の双方向サービスを組み合わせたもので、チャンネル紹介の静止画や文字のほか、スター・チャンネルのお薦め映画やミニ番組といった動画を無料で視聴できる。動画はケーブル回線経由で配信する。J:COMの双方向テレビサービス「インタラクTV」にアクセスして加入手続きを行ったり、加入者向けVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービス「スター・チャンネル オンデマンド」にもワンタッチでアクセスしたりできる機能も備える。このサービスを開始した狙いや今後の展開について、スター・チャンネルの担当者に聞いた。

 スター・チャンネルは、「スター・チャンネル データ放送(198ch)」を「わが社のサービスのポータルサイト」(マーケティング本部制作部長兼広告宣伝部長の青山功氏)と位置付けているという。このサービスは、スター・チャンネルがBSで行っているデータ放送とは別のもので、J:COM向けのオリジナルデータ放送である。スター・チャンネルの放送に使っている帯域の一部ではなく、専用の帯域を割り当てた。

 J:COMの協力を得てチャンネル番号として198chを割り当て、EPG(電子番組表)上でスター・チャンネルが運営するチャンネル(スター・チャンネル3、チャンネル番号は197ch)の隣に表示されるようにした。EPGを使ってチャンネルを選局するJ:COMユーザーに数多く利用してもらうことを目指す。さらにスター・チャンネルの未加入者向けの画面で「ご案内チャンネルへ切り替えますか」という表示がされたときに加入者が「はい」を選択すれば、データ放送の画面に移るようにした。

海外ドラマの第1話を無料配信

 スター・チャンネルのお薦め映画やミニ番組といった動画の無料配信の目的は、「未契約者にスター・チャンネルを知ってもらうこと」(青山氏)という。映画の予告編や俳優や監督映画のインタビュー動画を配信する。「今後は無料配信のコンテンツを増やしたい」(営業本部CATV営業部副部長の佐藤直人氏)と意欲を見せている。2012年4月15日からは、海外ドラマ「フォーリング スカイズ」の第一話を1週間配信するという。

 スター・チャンネル オンデマンドの利用件数増加も新たなデータ放送開始の狙いの一つである。スター・チャンネル オンデマンドでは毎月25本の作品を選び、加入者向けに無料で配信しているが、このサービスのトップ画面に利用するには「VOD」ボタンを押した後に「チャンネル提供番組」を選ぶなどの操作を行う必要がある。このサービスの現在の利用率は「ユニークユーザーベースで10%程度」(青山氏)という。「サービスを利用するまでの階層が深いことが利用されない原因の一つ」(青山氏)という考えから、データ放送画面から簡単な操作でスター・チャンネル オンデマンドのトップ画面に移動できるようにした。

 現在、「スター・チャンネル データ放送(198ch)」を利用できるのは、J:COMの加入者に限定される。ただし、データ放送画面からの契約申し込みを顧客管理システムで受け付けることができるようにするなど、「ケーブルテレビ事業者にシステム面での対応をしてもらうことができれば、ほかの事業者の加入者にも今回のデータ放送を提供できるようになる」(営業本部CATV営業部課長代理の神崎義久氏)という。「可能であれば順次お声がけをしたい」としている。