第66回となるNHK放送技術研究所の一般公開が2012年5月24日から4日間行われる。今年は、メーカー5社(シャープ、ソニー、東芝、パナソニック、三菱電機)の協力を得て開発したHybridcast受信機が展示されるなど、放送/テレビの関係者にとって見逃せないイベントとなりそうだ。

 Hybridcastは、各種の放送・通信連携サービスを実現する基盤としてNHKが開発を進めているもので、受信機のアプリケーション実行環境としてHTML5ブラウザーを搭載する。例えば「テレビの大画面で家族みんなが放送番組を楽しみながら、手元のタブレット端末では個人の趣向に合った情報を見るなどの視聴スタイルを提供する」ことを想定する。今年技研公開では、試作機の展示や、高度なサービスに向けた技術の展示を行う。また、Hybridcastの実用化に向けた現在の研究開発状況、標準化への取り組み、今後の進め方について述べる講演が24日に行われる。

 通信・放送連携サービスの関連でもう一つの注目は、ソーシャルテレビ「teleda」である。放送局の番組資産やソーシャルデータにアクセス可能なAPIを提供し、新しいサービスの開発ができる仕組みを実現している。25日には提案するサービスモデルや、番組やソーシャルグラフなどのリソースを公開するためのteleda APIを中心とするシステムの説明や、2010年度/11年度に行った実証実験、今後の取り組みに関する講演が行われる。

 このほか、145インチ型のスーパーハイビジョン用PDPを搭載したディスプレイを使い、自発光・直視によるスーパーハイビジョンのデモを世界で始めて行う。三菱電機と共同開発を進めるHEVC(H.264の次世代方式として2013年標準化予定)のソフトウエアデコーダも展示する。V-Lowマルチメディア放送の関連では、サービスイメージや各種受信機、移動中でも安定に受信するための技術を展示する。

 また、地上波を利用したスーパーハイビジョン伝送を想定して開発を進める次世代地上大容量伝送技術の関連では展示のほかに講演もあり、偏波MIMO技術と変調多値数を4096まで拡大した超多値OFDM技術の具体的な構成、LDPC符号の復号方法の工夫、偏波間インターリーブなどについて述べる。さらに市街地での野外実験結果を紹介し、今回技術展示するUHFの2チャンネルを用いたスーパーハイビジョン伝送実験の概要について説明する。

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[NHK放送技術研究所による技研公開2012のページ]