写真●NTTデータの山下徹社長
写真●NTTデータの山下徹社長
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 2011年度(2012年3月期)の決算がほぼ出そろった。NTTデータ、野村総合研究所(NRI)、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)などのシステムインテグレーター(SIer)、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクといった通信事業者が増収増益の好決算だったのに対し、富士通、NECは減収減益で、明暗が分かれた格好となった。

NECは純損失1103億円の赤字に

 NTTデータの連結決算は、売上高が前期比7.7%増の1兆2511億円、営業利益は同2.7%増の804億円。ただし、純利益は税制改正の影響を受け、同18.4%減の304億円となった。営業増益には、不採算案件の抑制と連結子会社の拡大が寄与した。特に、前期と比べて海外売上高が倍増しており、低迷する国内事業を海外事業の伸びでカバーした。

 NRIの売上高は前期比2.8%増の3355億5400万円、営業利益が同12.3%増の431億5200万円。営業ベースでは4期ぶりの増収増益で、「コンサルティングが好調だったほか、ITでは金融での大型案件などが寄与した」(嶋本正社長)。同社では2013年3月期も、引き続き増収増益を予想する。

 これに対し、NECの売上高は前期比2.5%減の3兆386億円。中国のレノボと合弁会社を設立して個人向けPC事業を非連結化した影響などで減少した。営業利益は同27.5%増の737億円となったが、構造改革費用や保有株式の評価損で、純損失では1103億円の赤字を計上した。

 一方、富士通の売上高は前期比1.3%減の4兆4675億7400万円、営業利益は同20.6%減の1053億400万円で減収減益となった。売上高は4期連続の減収で、2010年3月期から2期続いた営業増益も途絶えた。

 大手メーカーで好調だったのが日立製作所で、売上高は前期比3.8%増の9兆6658億円、営業利益は同7.3%減の4122億円で増収減益。当期純利益として3471億円を計上し、2期連続で過去最高を更新した。

スマフォ販売好調でNTTドコモは8期ぶり増収増益

 通信事業者であるNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクは、いずれも増収増益の好決算となった。

 NTTドコモの売上高は前年度比0.4%増の4兆2400億円、営業利益は同3.5%増の8745億円で、2003年度以来の8期ぶりに増収増益となった。同社では、2011年度のスマートフォン販売台数を600万台と計画していたが、最終的に予想を大幅に上回る882万台に達した。これがパケット収入などを押し上げ、増収増益の要因となった。

 KDDIの売上高は前期比4%増の3兆5721億円、営業利益は同1.2%増の4776億円。同社は2011年度のスマートフォンの販売台数として400万台を見込んでいたが、こちらも予想を大幅に上回る563万台を販売した。

 ソフトバンクの売上高は前期比6.6%増の3兆2024億円、営業利益は同7.3%増の6752億円と増収増益。経常利益は同10.2%増の5736億円、純利益は同65.4%増の3137億円だった。セグメント別では、移動通信事業の売上高が前期比10.3%増の2兆1448億円、営業利益が同6.7%増の4292億円となった。

 以下、2012年3月期決算を報道した記事をまとめて紹介する。

決算報道記事

NTTデータの2012年3月期決算は増収増益

NRIの12年3月期決算は4期ぶり増収増益、今期も増収を予測

新日鉄ソリューションズの2012年3月期は増収減益

CTCの2012年3月期は増収増益、営業利益は16%増

ITHDの2012年3月期は営業利益22%増、構造改革費用で最終利益は減少

日本ユニシスの2012年3月期は最終赤字、AIJ問題などで

富士通の2012年3月期決算は減収減益、「第4四半期は回復」

NECの2012年3月期決算は純損失1103億円、「4本柱」で成長狙う

日立製作所、2013年3月期は営業利益4800億円を見込む

ドコモ決算は8期ぶり増収増益

ソフトバンクの2011年度決算は増収増益

KDDI通期決算は増収増益、3M戦略の立ち上がりも「非常に順調」

「売上高5000億円達成を目指す」、J:COMが中期事業計画

黒字転換の日本通信、「2~3年後に30億円規模の営業利益を」

「テレビの赤字圧縮で手応え」ソニーの加藤CFO

シャープの2011年度決算は3760億円の最終赤字