スマートフォン向けサービスのコンテスト「A3 2012」。復興奨励賞には「ヘルスライフパスポート」、ルック&フィール賞には「秒時計」、個人・グループ賞には「MyUUID」、学生奨励賞には「CodeLibrary」と「NXTDrive」が選ばれた。

10言語対応で外国人や海外での医療をサポート
<イメージング賞>ヘルスライフパスポート
作者:株式会社アイエスゲート

 「ヘルスライフパスポート」は、外国人が日本で医療を受診する際、あるいは日本人が海外で受診する際、母国語で問診に回答し、医師に伝えることができるアプリだ。

 内科を中心とした174項目の問診情報を収録し、日本語以外に英語、中国語、韓国語、フランス語などの10言語に対応(2012年4月現在)。選んだ2つの言語で質問と入力内容を表示する。日本語と他言語だけではなく、中国語と英語、英語とフランス語といった組み合わせで表示することも可能。Androidらしいグローバル対応となっている。

海外旅行の前などに事前に入力しておけば、旅行中にもしものことがあっても、入力内容を医師や看護師などに見せることでスムーズに受診できる。入力はタッチ操作で “はい”や“いいえ”などの選択肢を選ぶのみ。高齢者でも簡単に自分の状況を登録可能だ。

 そのほか、入力した履歴から問診データのPDFを作成してメールで送信することができる。日々の体重や血圧などを記録して健康管理に役立てられる機能も備える。

 このアプリは、アイエスゲートが群馬大学医学部 附属病院 医療情報部と協力して開発している。東日本大震災の際も、多くの在日外国人が情報不足や、コミュニケーションの困難さに直面した。このアプリは世界で災害時の医療に役立つと期待される。また製品化の際は、ダウンロード収益の30%をWHOなどを通じ、発展途上国の子供たちのワクチンに寄付する方針という。

写真●言語選択画面。母国語と翻訳語を選択する
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写真●専門的な質問の前に、体重や血圧などの基礎情報を入力する
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写真●問診の内容は、気になる部位や今の症状などから選んで入力できる
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写真●質問の答えは、選択肢から選ぶだけの簡単入力
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作者に聞く

アイエスゲート 代表取締役 小林俊哉氏
アイエスゲート ソリューション事業部 菅沼克宣氏、本田弘氏、代表取締役 小林俊哉氏(撮影:菊池くらげ)

アプリを開発されたきっかけは。

 外国人や海外旅行者、聴覚障害者など、言葉の問題でコミュニケーション取りづらい方々が医療機関での受診をスムーズに行えるよう、ITを利用して支援したいと考え開発しました。

苦心された点は。

 タッチパネルで操作しやすいユーザーインタフェースを心がけました。問診入力内容の履歴保存と問診票印刷はWebサーバー経由で行うなど工夫しました。

ユーザーに向けてのメッセージを。

 海外旅行する皆さん、ヘルスライフパスポートは、ご自身の健康状態を渡航先の言語で医療関係者に伝えることができます。不測の事態にお役立て下さい。