スマートフォン向けサービスのコンテスト「A3 2012」。アイデア部門の優秀賞には、「Warasy ―Android端末を利用した歩行リハビリ支援システム―」と、スマートフォンの充電サービスに広告を組み合わせたアイデア「QDen」が選ばれた。

靴中のセンサーと連携した歩行リハビリ支援システム
<優秀賞>アイデア部門 Warasy
作者:久原政彦

 「Warasy」は、リハビリ支援を目的として作成したシステム。名前のWarasy(ワラジー)には“足元から歩行リハビリを支える”という意味を込めた。

 例えば脳卒中の後遺症などで歩行障害を持った場合、継続的なリハビリが必要となる。しかし担当者が24時間つきっきりでリハビリを行うのは不可能。そこでAndroidを活用した自動化システムを考案した。

 まず、靴の中敷に仕込んだ圧力センサーによって足首の使い方、体重の乗せ方を計測し、独自開発の携帯型センサにデータを集約。そこからAndroid端末へとBluetooth接続によりデータをフィードバックする。そして反映された計測結果を受け、リアルタイムでAndroid端末がリハビリ患者を励ます“声がけ”を行う。

写真●Warasyのシステム。Android端末がリハビリ担当者の役目を果たす
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 本アイデアのコンセプトは「褒めて伸ばす」こと。リハビリの専門家から意見を集約した結果、久原氏は「すぐに褒めること、より具体的に褒めることが患者のモチベーションを維持する」との結論に至った。「すぐに褒めることは、うれしいと思わせる効果がある。具体的に褒めることは、目標を設定して動きを反復することにつながる。『いつも寄り添い、しっかり励ます』のがポイントだ」(久原氏)。

写真●すぐに、そしてより具体的に褒める「デュアル褒める」方式がリハビリ患者には有効
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 将来的にはこのシステムを発展させ、見守り支援、遠隔指導、健常者向けのダイエット支援なども視野に入れている。「これからの社会に役立つAndroidアプリとしたい」(久原氏)と夢は広がる。

作者に聞く

久原政彦氏
久原政彦氏(撮影:菊池くらげ)

アイデアを考案したきっかけは。

 このアイデアは、昨今増加するリハビリ需要に対して、電子機器を使ったサポートが行えないかという現場の声をもとに生まれたものです。以前はパソコンや大型機材を使った支援を試みていたのですが、Androidという素晴らしい携帯機器が登場し、さっそくこれを利用しようとプロジェクト化しました。

どのようにアイデアを練り上げましたか。

 Androidを利用すると、これまで難しかったリアルタイム支援ができたり、携帯性を生かしてどこでもリハビリ活動ができたりするようになるなど、様々な要素が追加できるようになりました。

 私は『継続的なリハビリ活動』が支援できるようになるというところを重視し、患者さんがリハビリ活動を継続できるようにするにはどう支援すべきかを考えた結果、本アイデアのコンセプト『褒めて伸ばす』『リアルタイム支援』が決定しました。またこれを強力に支えるために、『外部計測機との連携』を行っています。

アイデアに興味を持たれた方へのメッセージを。

 リハビリ関係者の方々、とくに理学療法士の方や、病院関係者の方、介護施設の方などには、積極的にご協力いただければと思います。また現代の運動不足解消や、シューズメーカーさんなどとの連携など、スポーツや健康維持分野での応用も目指したいと思っております。広範な分野で活躍してこそ、商業としても成り立つと思いますので、このアイデアを応用した各種運動支援にご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ mail@mkubara.com までご連絡ください。