今回のテーマは「リーダーシップ」とさせていただきました。

 「あれ、プロジェクトにおける“マネジメント”じゃなかったの?」というツッコミが入りそうですが、いやいや、そうではありません。

 プロジェクトにおけるマネジメントとリーダーシップ。実は、どちらもプロジェクトの成功のために不可欠な要素なのです。

プロジェクトにおけるリーダーシップの必要性

 この連載でたびたび出てきていますが、プロジェクトとは「新たな価値を創造する活動」を指しています。従って、プロジェクトの成功とは単純に「作業が計画通り終わる」ということだけではなく、「他とは差別化された価値を持つ成果物やサービスが提供される」ことであり、クリエイティブで挑戦的な意味を持っているはずです。

 ところが、この「クリエイティブで挑戦的な部分」には様々な困難が伴うために、プロジェクトはついつい安全な方向に流れてしまいがちです。「本当はこのような機能も入れた方が良いけど、前例がなくて難しそうだからやめておこう」とか、「工夫すれば1週間でできるかもしれないけど、期限が遅れると怒られるから2週間のスケジュールにしておこう」という思考がついつい働いてしまうものです。その結果、作業は予定通りに終わるものの、多くの時間とコストを掛けたにもかかわらず「これまでと代り映えしないモノ」が出来上がることになってしまいます。

 そうかと言って、プロジェクトのオーナー(お金の出し手)やプロジェクトマネジャーなどが高い目標を無理にメンバーに指示して実行させようとしても、上から一方的に押し付けられたムチャなゴールに対してメンバーは責任を持とうとしないでしょう。これでは絶対にうまくいきません。

 そこで重要となるのがリーダーシップです。

 プロジェクトにおいてリーダーシップが発揮できている状態とは、「リスクを取ってこれまでにない目標にチャレンジする」という意識が浸透し、行動によってそれが実現されていることだと私は考えています。プロジェクトのメンバーが主体的にチャレンジを重ねることで、初めて期待以上の成果が生み出されることになるのです。