インターネット経由で業務アプリケーション、ソフト開発・実行環境、さらにCPUやストレージといった様々なITリソースを提供するクラウドコンピューティングは、いまや当たり前のものになった。「…のクラウド版を提供」というニュースは、ITproでもほとんど毎日のように登場する。読者の関心をひきつけるキーワードとしては、いささか新鮮味が薄れた感がある。
Dropbox、Gmailの業務活用に高い関心
逆に言えば、クラウドがそれだけ身近になったということでもある。ITproのクラウドサイトに掲載された記事の2012年1月から4月下旬までのアクセスランキング上位20本を見ると、そのことが裏付けられる。Googleやアマゾンの華々しいニュースを抑えて、オンラインストレージのDropboxやiCloudを使って日常業務の効率をいかに向上させるかを扱った「やりかけの仕事を自宅で続ける方法」がランキングのトップに輝いたのだ。
順位 | 記事の種類 | タイトル | 公開日 |
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1 | 記者の眼 | やりかけの仕事を自宅で続ける方法 | 2012/1/10 |
2 | 記者の眼 | 「ビッグデータ」が注目される理由 | 2011/9/21 |
3 | ニュース | 実績の大手が地力みせる、「第4回クラウドランキング」を発表 | 2012/2/28 |
4 | 次代を担う新型IT | 米グーグルも注目、ネット設計変える「OpenFlow」 | 2011/12/19 |
5 | ニュース | サイボウズ関連会社、Webブラウザーで動作するタスク管理サービスを開始 | 2012/3/5 |
6 | データセンター用語集 | EPS | 2009/6/4 |
7 | ニュース | 「クラウドでファミコンをパワーアップ」:Googleの動画 | 2012/4/3 |
8 | ニュース | Google検索の新機能「Search plus Your World」、検索結果をよりパーソナルに | 2012/1/11 |
9 | ニュース | “自宅クラウド”が構築できる新型「Pogoplug」、速度を80%向上 | 2012/2/1 |
10 | ニュース | アマゾンが独自開発のDBサービス「Amazon DynamoDB」を開始 | 2012/1/19 |
11 | ニュース | 「うるう年」の処理ミスでWindows Azureにサービス障害 | 2012/3/1 |
12 | ニュース | Googleが「Google Play」を発表、Android Marketや音楽・電子書籍配信を集約 | 2012/3/7 |
13 | ニュース | Office 2010のWeb版は「期待はずれ」 | 2010/5/10 |
14 | ニュース | Google、Social Graph APIなどさらに6製品/サービスを終了へ | 2012/1/23 |
15 | ニュース | アマゾン、専用線経由でクラウドが利用できる「AWS Direct Connect」を日本国内で開始 | 2012/1/12 |
16 | Networkキーワード | クラウド・コンピューティング | 2008/7/9 |
17 | ニュース | 楽天傘下のKoboは「Amazon唯一のライバル」 | 2012/1/27 |
18 | ニュース | Googleの新検索『Search+』、可能性と問題点 | 2012/1/12 |
19 | データセンター用語集 | PDU | 2009/2/12 |
20 | ニュース | Google+の月間滞在時間はわずか“3.3分”、Facebookの7.5時間と大差 | 2012/2/29 |
9位にランクインした「“自宅クラウド”が構築できる新型「Pogoplug」、速度を80%向上 」は、自宅に“プライベートクラウド”を構築するための外付けハードディスク用アダプターを取り上げた記事。こちらも1位の記事と同じく、個人ベースでのクラウド活用法を紹介するものだ。
このほか2012年前半には、オンラインメモサービスのEvernoteの経験談を紹介した「意外といける!? タブレット端末でお仕事」もよく読まれた。ただし、ITproのスマートフォンサイトに掲載された記事のため、上記ランキングには入っていない。
上位サービスは技術者の陣容拡大や提供内容の充実が奏功
3位にランクインした「実績の大手が地力みせる、「第4回クラウドランキング」を発表」は、日経BPと日経BPコンサルティングが2012年1月に実施した第4回クラウドランキングの結果を報じたものだ。同ランキングはITベンダー205社への調査にもとづいて、「クラウド基盤サービス」「パブリッククラウド導入支援/プライベートクラウド構築支援サービス」「データセンター」「SaaS」といった部門ごとに、ベストサービスのランキングを決定している。
各部門の詳細なランキングは、以下の通りである。
【ベストサービス編】
- 企業基盤の担い手が台頭:クラウド基盤サービス部門
- 大手が安定した強みを発揮:パブリッククラウド導入支援/プライベートクラウド構築支援サービス部門
- 拡大需要を満たした企業が躍進:データセンター部門
- 新顔が大手と並び立つ:SaaS部門
これらのランキング結果を見ると、ベストサービスの提供各社はクラウドの利用拡大に合わせて、サービスの内容や技術者の陣容などを急速に充実させたことが奏功している。
日経BPと日経BPコンサルティングは、クラウド関連の製品やサービスを提供するITベンダーについての企業イメージ調査も、2011年12月~2012年1月に実施した。こちらはWebアンケートシステムを利用して7955件の有効回答を集計、特に認知度が高いと判断した14社を「ベストブランド」として認定している。
【ベストブランド編】
4分野、266商用サービスの詳細データを公開
最後に第4回クラウドランキングの調査データにもとづいて作成した「クラウドサービス総覧2012年春版」を紹介する。同総覧は「IaaS/PaaS編」「汎用業務系SaaS編」「汎用情報系SaaS編」「特定業種業務向けSaaS編」の4分野で、計266のクラウドサービスの詳細なデータを掲載したものだ。
データは個々のクラウドサービスごとに、「料金体系」「保守サポート」はもちろん、IaaS/PaaS編であれば「稼働率」、汎用業務系SaaS編であれば「カスタマイズへの対応」など30項目以上にわたる。クラウドサービス選択の判断材料として、非常に役立つはずだ。