企業ネットワークやシステムの管理者を取り巻く環境は、年々厳しさを増している。コスト削減の要求は絶えることなく、機器やソフトウエアの新規導入、十分な人材の確保は難しくなる一方だ。こうした状況で、機器の管理やOS、アプリケーションなどの更新を定期的にこなすのは大変だろう。外部委託や運用の自動化が進んでいるのではないだろうか──。

 そこで日経NETWORKは、ネットワークやサーバーシステムを外部に委託する企業はどれくらいなのか、機器の自動設定機能やクラウド関連サービスの利用率はどの程度なのかを調べるため、昨年、「ネットワークの実態調査 2011」を実施した。同様の調査は企業ネットワークの担当者を対象に例年4~5月にかけて実施しているが、このアンケートでは特に外部サービスや自動化機能についての質問を盛り込んだ。

「自営派」と「おまかせ派」を調査

 ここでは集計結果を解説するうえで、企業のネットワーク運用方法を「自営派」と「おまかせ派」の2種類に分けた(図1)。自営派は「構築・運用を自社で担う」方針を指す。例えば「機器の設定・運用は管理者が自ら実行する」「社内にサーバーを持つ」「WANを自社構築する」──といった方針を採る企業だ。

図1●あなたのネットワークは「自営派」か「おまかせ派」か。この調査では、ネットワークやネットワーク関連のシステムについて、自社で構築・運用をする自営派と、通信事業者やプロバイダー、データセンター事業者などのサービスを活用し、なるべく外部委託するおまかせ派に分けて見ていく。一つの企業で、システムごとに自営派とおまかせ派が混在していることもある。
図1●あなたのネットワークは「自営派」か「おまかせ派」か
この調査では、ネットワークやネットワーク関連のシステムについて、自社で構築・運用をする自営派と、通信事業者やプロバイダー、データセンター事業者などのサービスを活用し、なるべく外部委託するおまかせ派に分けて見ていく。一つの企業で、システムごとに自営派とおまかせ派が混在していることもある。
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 もう一つのおまかせ派は、「構築・運用をなるべく委託・自動化する」方針を指す。「WANやLANの設定・運用では自動化を進める」「プロバイダーやデータセンター事業者が提供するサービスを活用して外部委託を進める」といった具合である。

 企業のネットワークシステムのどの部分を委託/自動化するかは、その企業の規模、業種、セキュリティポリシーなどによって適切な範囲が異なる。現実には一つの企業で、システムや拠点ごとに自営派とおまかせ派が混在していることもある。そのため、一概にアンケート結果をすべての企業に当てはめることはできないが、「こんなやり方もあったのか」と自社のネットワークを見直すポイントになるはずだ。次回から、アドレス管理やメールなど企業内で使う代表的なネットワークシステム、WANサービス、セキュリティ、クラウドなどに関する集計結果を参照し、自営派とおまかせ派の傾向を見ていこう。

アンケート調査の概要

 日経NETWORKでは2011年4月11日から5月16日にかけて「ネットワークの実態調査 2011」と題したWebアンケート調査を実施した。主に企業ネットワークの担当者を対象に、最近起こったトラブル、構築の事例、管理・運用方法などについて全32の質問を用意した。回答数は1115件。調査の実施および集計は日経BPコンサルティング。

 調査サイトのURLは、読者向けのお知らせメールと4種類のメールマガジン「日経NETWORK倶楽部メール」「日経コミュニケーションEXCLUSIVEメール」「ITproメール」「BPnetメール」で告知した。TwitterやFacebookにも調査サイトのURLを掲載した。