最終回は、「企業の将来」に関する調査結果のポイントを解説する。企業については、23項目の「出来事や状態」を尋ねた。

 企業と顧客の関係やマーケティング活動が急速に変わりつつある様子が、今回の調査を通じて浮かび上がった。企業活動における顧客との関係性を重視する項目や、企業活動に対して個人の影響力が拡大する項目は、将来の期待度も実現率も高かった。例えば、「顧客の声を早期に把握したり、考えを深く理解する企業が一般的になる」や「顧客と共にサービスや製品の開発に取り組むことが一般化する」は、期待度が7~8割に上った(図1)。10年以内の実現率も6割台と高い。

図1●企業に関する期待度と10年以内実現率
図1●企業に関する期待度と10年以内実現率(顧客の声を把握、顧客と共に開発)
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マーケティング活動の進展は諸手を挙げて賛成ではない

 一方で、マーケティング活動の進化にはもろ手を挙げて賛成できないという意識も垣間見えた。「企業のマーケティング活動において、ソーシャルメディアの活用が一般的になる」や「あらゆる個人情報(行動や購買履歴などを含む)に基づいたマーケティング(自分にあった情報の提供)が普通になる」は、期待する人は半数を超えなかった(図2)。ただし、10年以内の実現率は、いずれも6~7割台と高かった。企業におけるソーシャルメディア活用は、期待しない人もいるが進展はするだろうとの認識である。

図2●企業に関する期待度と10年以内実現率
図2●企業に関する期待度と10年以内実現率(ソーシャルメディアの活用、個人情報とマーケティング)
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 このようなマーケティング活動の進展に対する回答を年代別に見ると、20歳代が期待度と実現率共に高く、ほかの世代よりも肯定的にとらえている。