今回は、3分野の中の「社会の将来」について、調査結果のポイントを解説する。ここでは24項目の「出来事や状態」を尋ねた。

 将来の社会に対する「出来事や状態」では、そうなってほしいとの期待度が高いものの、10年以内の実現率は低く、あまり実現しないだろうという項目が複数見られた。日本の国力や社会構造に根ざす点である。例えば、「日本の財政危機は解決に向かう」は9割が期待するもの、10年以内実現率は27.0%にとどまり、「20年以内に実現しない」との回答が4割に上った(図1)。公平性や機会均等に関する項目として尋ねた「世襲議員がほとんどいなくなる」に至っては、10年以内実現率は20.0%にとどまった。

図1●社会に関する期待度と10年以内実現率
図1●社会に関する期待度と10年以内実現率(日本の財政危機、世襲議員)
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 日本の国力や社会構造に対する回答者の冷めた目線が感じられる。ただ、50歳代では、こうした項目の10年以内実現率がほかの世代よりもやや高い傾向が見られた。

「日本国内の外国化」には抵抗感

 日本の外国化について尋ねた設問からは、心理的な抵抗感が伺えた。「日本の社会の中で、外国人の比率が現在の2倍以上になる」や「日本語以外の言葉も日常生活で使われるようになる」では、いずれも「期待しない」が「期待する」より多い(図2)。この傾向は、年齢が上がるほどやや強まる傾向が見られた。

図2●社会に関する期待度と10年以内実現率
図2●社会に関する期待度と10年以内実現率(日本国内の外国化)
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 これに対して、「海外で働く日本人が、現在の2倍以上になる」は5割弱が期待しており、日本人が海外に出て行くことを否定する意識は薄い。

 日本国内の外国化は期待しないものの、そうした社会は到来すると考える人が多い。「日本の社会の中で、外国人の比率が現在の2倍以上になる」は期待する人が2割にとどまったが、10年以内の実現率は44.0%に上った。「日本はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加している」も期待している人は5割弱に対して、10年以内の実現率は70.6%に上った。外国化や国際化の流れにはどこかひっかかりを感じつつも、そのような社会が徐々に到来することは想定している様子だ。