ブランドという概念を確立させるなどして「現代広告の父」と呼ばれるデイヴィッド・オグルヴィ。本書はオグルヴィの下で26年間薫陶を受けた著者が、米国議会図書館に寄贈されたコンテナ87個分の資料を調べ上げてまとめた評伝である。

 オグルヴィはよい広告の基本ルールとして「美文を書く必要はなく、楽しませようとしなくて構わない」と語る。事実、彼は綿密な調査や分析の裏付けに基づいた斬新な手法を駆使して、注目を集める広告を作ってきた。その背景には訪問販売員や調査会社の研究所員、スパイといった一風変わったキャリアから得た経験があったという。広告関係者に限らず、業務に応用できる話題が豊富だ。

デイヴィッド・オグルヴィ 広告を変えた男

デイヴィッド・オグルヴィ 広告を変えた男
ケネス・ローマン著
山内 あゆ子訳
海と月社発行
2100円(税込)