王子製紙はグループ38社が利用する会計システムを刷新する。IFRS(国際会計基準)への対応が最大の狙いで、日本の会計基準(日本基準)とIFRSのそれぞれに基づく財務諸表の作成を効率化する。2012年7月にグループ3社で先行して利用を開始、13年4月から38社すべてで使用する計画だ。

 新システムは「複数元帳」の機能を備えるのが特徴である()。総勘定元帳をIFRS向け、日本基準向けに別個に用意する。IFRSが強制適用になった場合、上場企業は連結財務諸表をIFRSに基づいて作成する必要がある一方で、単体財務諸表は日本基準に基づいて作成しなければならない。「子会社のIFRS対応時の負担を軽減する必要があった」(王子ビジネスセンターの池永元昭社長)ため、複数元帳により作業の効率化を図る。

図●王子製紙のグループ新会計システムの概要
図●王子製紙のグループ新会計システムの概要
IFRS(国際会計基準)と日本の会計基準(日本基準)に基づいた会計データを作成する

 富士通と富士通マーケティングのERP(統合基幹業務システム)パッケージ「GLOVIA SUMMIT GM」を利用する。王子ビジネスセンターが運用するプライベートクラウド上に構築し、グループ会社にはSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)として提供する。プライベートクラウドを使う理由を、池永社長は「複数元帳を採用するとデータ量が急増する。仮想化技術を使えば、これに対応できる」と説明する。

 01年に構築した現行のグループ会計システムは日本基準を前提としている。加えて、「サーバーの台数が増えて保守・運用に手間がかかっていた」(池永社長)ことから、システムの刷新を決めた。