ユーザー企業のシステム部員(システム子会社の従業員含む)は、幅広いスキルが求められる。システムの利用部門からの問い合わせ対応、日々のシステム運用、ITベンダーの作業管理、業務プロセス改革の支援など、様々な役割を担う必要があるからだ。

 システム部員は、どんな資格を取得すればよいか。今回からはITベンダーの視点も取り入れて、取得すべき資格のランキングを作成した(表1)。プロジェクトを円滑に進めたり、ユーザー企業と良好な関係を築いたりするために「ユーザー企業のシステム部員に取得してほしい資格」を、ITベンダーの人事担当者に会社を代表して回答してもらった。

表1●ユーザー企業のシステム部員が取得すべき資格の分野別トップ3
表1●ユーザー企業のシステム部員が取得すべき資格の分野別トップ3
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 システム部長とITベンダーの両方から高い支持を集めたのが、情報処理技術者試験の「基本情報技術者」と「ITパスポート」だ。スコアは他の資格を大きく引き離し、100ポイントを超えた。

 特に「基本情報技術者」は、システム部員にとって必須といえる。例えばリクルートでは、「システム部門に配属された新人は、入社3年以内の取得を義務付けている」(河野ゼネラルマネジャー)。今回の調査でも42.6%のシステム部員が、「基本情報技術者」を「取得済み、または取得したい」と回答した。

 となると、多能スペシャリストを目指すには、これらの次に取得する資格の選び方がポイントとなる。ITパスポートと基本情報技術者で基礎はできている。残るは自分の特色を出す専門領域として、どのスキルを伸ばすかだ。

 ITベンダーの認定資格で1位の「オラクル(データベース分野)」や、ビジネス分野で1位の「日商簿記(2級以上)」などが検討対象となる。

 ただし、システム部長や開発・運用を委託しているITベンダーの立場でみると、価値のある資格は変わる。例えば、システム部長はシステム部員に「情報セキュリティスペシャリスト」などの取得を、ITベンダーは「応用情報技術者」などの取得を求めている。こうしたことを加味して、システム部員は伸ばすべき専門領域を見極めよう。