ITベンダーの人事担当者、ユーザー企業のシステム部長、ITベンダーの技術者自身に対する調査結果から、ITベンダーの技術者がこれから取得すべき12種類の資格を導き出した(表1)。

表1●ITベンダーの技術者が取得すべき資格の分野別トップ3
表1●ITベンダーの技術者が取得すべき資格の分野別トップ3
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 多能スペシャリストの軸となるのが、プロジェクトマネジメントである。情報処理技術者試験では「プロジェクトマネージャ」が1位、IT関連団体の認定資格でも「PMP」が1位と、プロジェクトマネジメント関連資格の人気は底堅い。ITベンダーの技術者は、これと表1にある他の資格を組み合わせて取得するとよい。

 実は表1に示した12種類の資格のうち、10種類の資格は前回調査と同じだった。変わったのは、ITベンダーの認定資格トップ3から、「マイクロソフト(OS分野)」が消え「マイクロソフト(データベース分野)」がランクインしたこと。IT関連団体の認定資格の3位が、「ITコーディネータ」から「LPIC(Linux技術者認定)」に置き換わったことだ。

 分野別解説に登場する、表1に掲載されていない資格にも注目してほしい。ユーザー企業のシステム部長がITベンダーの技術者に「取得してほしい」資格と、ITベンダーの人事担当者が「取得させたい」資格に大きな乖離があるからだ。

 例えば、ユーザー企業のシステム部長はデータベースやネットワーク分野の資格取得も求めている。「誰のニーズに応えるか」を見極めることで、本職と組み合わせるべきスキルが決まる。

【情報処理技術者試験】ネットワーク分野の人気上昇

 ユーザー企業のシステム部長がITベンダーの技術者に取得してほしい資格、ITベンダーの人事担当者が自社の技術者に取得させたい資格のランキングを個別に見ると、表1とは異なる意外な人気の分布が見えてくる(図1)。

図1●ITベンダーの技術者に「取得してほしい」「取得させたい」情報処理技術者試験の資格(複数回答)
図1●ITベンダーの技術者に「取得してほしい」「取得させたい」情報処理技術者試験の資格(複数回答)
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 ユーザー企業が求めている資格の1位は「ネットワークスペシャリスト」だ。ユーザー企業の回答者の半数を超える60.3%が支持し、前回調査の3位から順位を上げた。2位は前回調査と同じ「データベーススペシャリスト」である。前回調査で1位だった「プロジェクトマネージャ」は3位に後退。IT基盤系の専門スキルを認定する資格の人気が上昇した。

 クラウドコンピューティングの導入やBCP(事業継続計画)強化では、ネットワークやデータベースに関する知識は不可欠だ。こうした分野の資格を持っているITベンダーの技術者に、ユーザー企業が価値を見いだしている。