サムスングループでBRMS(ビジネスルール管理システム)の活用が広がっている。「新しい保険商品の開発期間を3カ月間から1カ月に縮められた。しかも稼働後のシステムトラブルはゼロだ」。BRMSの導入効果を満足そうに語るのは、韓国最大の生命保険会社であるサムスン生命保険のイ・ソンヨル バイスプレジデント(VP)である(写真1)。

契約の相関関係をBRMSに入力

写真1●サムスン生命保険のイ・ソンヨル バイスプレジデント
写真1●サムスン生命保険のイ・ソンヨル バイスプレジデント
BRMSの導入プロジェクトを統轄した

 サムスン生命は2010年2月にBRMSを使って基幹系システムを全面刷新した。イVPはそのプロジェクトの責任者を務めた。

 サムスン生命は6000種類の主契約と9000種類の特約との相関関係をBRMSに入力した。「これまでは相関関係をプログラムの中に埋め込んでいたため、商品内容を少し変更するにも時間がかかっていた。影響範囲の調査に手間取っていたためだ」(イVP)。

 このスピードを速めるために、イVPはBRMSに白羽の矢を立てた。導入したのは韓国イノルールズの「innoRules」だ。

 イノルールズは、韓国ポスコで「エキスパートシステム」を研究していたメンバー7人が独立して1998年に創業した会社である。日本語や英語などで業務ルールを「もし…ならば(if-then-else)」などの形で入力する。「もし注文が入ったらその数量分を在庫から引く」といった具合だ。

 表形式の「デシジョンテーブル」を使ったり、あるいはフローチャートを使ったりしても業務ルールを入力できる。入力エディターのテスト機能を使うと、業務ルールの曖昧さや業務ルール間の矛盾を見つけられる。テストデータによる業務ルールの検証もできる。

 イノルールズは2002年からinnoRulesを出荷。当初は米国の競合製品が強かったが、競合製品を研究して操作性や性能を改善。韓国製品ということもあり海外製品よりサポートを手厚く受けられることも評価され、現在は韓国のBRMS市場でinnoRulesが8割以上のシェアを占めるまで成長したという。