(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)
今回の回答者: 日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC) IP事業部 課長 佐藤 晋 |
ぞろ目のIPアドレスというのは、例えば「8.8.8.8」というIPアドレスを使った米グーグルの「Google Public DNS」などのことですね。ドメイン名に隠れて表舞台にあまり出てこないIPアドレスですが、Google Public DNSでは、一般ユーザーがDNSサーバーのIPアドレスをクライアントに指定して使います。そこで「8.8.8.8」というわかりやすいIPアドレスが使われているのです。
Google Public DNSに限らず、ユーザーに覚えてもらうために語呂のよいIPアドレスが欲しい人という人はいるかもしれません。しかし日本国内のIPアドレスを管理しているJPNICでは、IPアドレスを申請する企業側がIPアドレスの番号を指定できたり、複数のIPアドレスのなかから選べたりといった運用はしていません。
ただし、JPNICからIPアドレスを割り振られたIPアドレス管理指定業者が、ユーザーからの要望を受け付けるというケースはあるかもしれません。IPアドレス管理指定業者とはプロバイダーなどのことです。JPNICでは、IPアドレス管理指定業者がこうした運用をすることを禁止していません。
ちなみにGoogle Public DNSの「8.8.8.8」と「8.8.4.4」は、グーグルが元々入手していたものではありません。米国の通信事業者であるレベル3コミュニケーションズに割り振られていたIPアドレスです。
なお、一般の企業はぞろ目のIPアドレスを入手しないほうがいいでしょう。そのIPアドレスは汚染されている可能性が高いからです。
この場合の汚染とは、スパムメールの配信などにIPアドレスを勝手に使われることを指します。単純でわかりやすいということは、使われやすいということでもあるのです。こうしたIPアドレスはインターネット上のブラックリストに載っていることが多く、それを使うとネットワークへのアクセスが制限されるトラブルが起こったりします。