従来の半額以下で利用できるBCP(事業継続計画)策定支援サービスや無償の診断サービスが、相次いで登場している。

表●格安BCP(事業継続計画)関連サービスの例
2012年2月以降に提供された格安サービス。支援内容を絞り込んで低価格化を実現
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 NTTデータは3月13日に、300万円から利用できる支援サービスを開始した。東北地方の企業に対しては、2013年3月末まで無償で提供する。これに先駆け、シーティーシー・エスピー(CTCSP)とGMOクラウドは2月21日、241万5000円からのBCP策定支援サービスを提供開始。TISは2月1日、BCP対策の有効性を診断する無償サービスを開始した。

 各社の狙いは、BCPの潜在ニーズを掘り起こすことだ。2011年10月時点でも、システム障害に関連するBCPを策定済みの国内企業は46.2%(日本情報システム・ユーザー協会調べ)。市場開拓の余地は大きいのだが、これまで攻略できていなかった。その原因の一つが、料金の高さだ。

 従来のBCP策定支援サービスは、分析からコンサルティングまで含めると1000万円以上かかるケースが多く、ユーザー企業にとってのハードルは高かった。そこでITベンダー各社は、支援内容を絞り込むことで料金を下げ、新たな需要を喚起し始めた。

 NTTデータの「BizXaaS BCP・DRコンサルティングサービス」では、顧客との打ち合わせの回数を最短5回に絞り込むことで低価格を実現した。1回目の打ち合わせでBCPの前提となる想定災害を決定。2回目で中核事業への影響度を評価、3回目でBCPの要件を決定する。4回目の打ち合わせで、投じるコストとRTO(目標復旧時間)を検討し、5回目で具体的な災害対策に落とし込む。

 CTCSPとGMOクラウドのサービス「IQcloud Sync」では、バックアップするサーバーの最小台数を減らすことで価格を抑えた。CTCSPが単独で提供していた従来のサービスは10台からだったが、IQcloud Syncは3台から利用できるようにした。サーバーのバックアップサイトをGMOクラウドのクラウドサービス「IQcloudVirtual Private」で構築し、災害時は数十分でシステムを切り替えられるようにする。

 BCPを策定せず、問題点などの診断だけに絞り込んだのがTISだ。ディザスターリカバリーやバックアップなどについての診断メニューを無償で提供し、これまでBCPに関心を示さなかった顧客を開拓する。診断では、独自のヒアリングシートを使い現状を把握し、最短5営業日後には課題と改善案などを示した分析レポートを提供する。