除雪車の配置を最適化
JAL

 航空機の到着遅れが15分未満に収まった比率を表す「定時到着率」という数字がある。JALは2010年に定時到着率89.90%を達成し、世界の航空大手のトップに立つ。

 この正確な運航を阻む大きな要因が、降雪だ。定時運行には、降雪時に航空機に積もった雪を素早く除雪することが欠かせない。こうした除雪作業を支えるのが「除雪車動態管理システム」だ。同システムは、空港のコントロールオフィスに詰めるオペレーターが、除雪車の乗務員に指示を出す際に使う。

 同システムの操作画面の特徴は、除雪作業の指示に必要な情報を一目で分かるように表示する点だ。各除雪車における燃料や雪を融かす溶剤の残量、除雪の進捗状況、航空機と除雪車の位置などが、直感的に分かるようにしてある(図1)。

写真1●ヤマト運輸の配達員が業務用携帯端末「ポータブル・ポス」を操作する様子
図1●JALの除雪車動態管理システムの画面例
除雪車と航空機の位置、除雪車の稼働状況などが把握できる
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 除雪作業は定時運行を左右する重要な作業だ。オペレーターが緊張感の中で迅速かつ正確な作業をこなすには、「見た目の分かりやすさと操作のしやすさが特に重要になる」(JALの新藤聡IT企画部空港オペレーショングループ主任)。

 分かりやすいUIの一例が、画面中央に配置した燃料の残量表示だ。残量は液体ごとに色分けしてグラフと数字で示している。画面右下の位置表示については、除雪車に搭載したGPS(全地球測位システム)から得た位置情報を利用する。地図をクリックすると、地図だけを拡大した別画面が開く。

 除雪作業は航空機の出発時刻からみて早過ぎても遅過ぎてもいけない。早過ぎると出発までの間に雪が積もってしまう。遅すぎると「離陸の何分前までに作業を終えなければならない」といった国際規定に反する。

 JALの新藤主任は「システムの導入によって、除雪作業の効率を上げられた」と語る。