社内の情報システムが使いにくい─。最近、こんな不満を言われたり、耳にしたりしたことがないだろうか。

 いろどりとは反対に、こうした不満に直面するユーザー企業が増えている。ある金融機関のシステム関係者は利用部門の人に「米アップルのiTunesのような使い勝手にしてほしい」と言われた。あるサービス業のシステム部長は「米グーグルのGmailは操作しやすいが、社内システムは使いにくくて不快だ」と断言された。

取り残された社内システム

 利用者が社内システムの使い勝手に不満を募らせる理由について、操作画面のUI設計やコンサルティングを手掛けるソシオメディアの川添歩シニアコンサルタントは次のように説明する。「最も大きいのは、iTunesやスマートフォンなど、個人向けのITサービスあるいは情報端末が格段に進化したことにある。それらと社内システムとの間で、使い勝手に大きな差が開いてしまった」。

 もちろんシステム部門も、システムの使い勝手を高める努力を重ねてきたはずだ。システム構築の際には、操作マニュアルを作って研修を施す。稼働後はヘルプデスクを通じて利用者のクレームを吸い上げ、それらを反映する形で画面や操作性を改善する、といった具合だ。

 しかし、システム部門の地道な改善をはるかに上回るペースで、個人向けのITサービスなどが進化しているのが現状だ。社内システムが利用者に不評を招く最大の理由は、ここにある(図1)。

図1●システムを楽しく、快適に使いたいと考える企業が増える背景と、その狙い
図1●システムを楽しく、快適に使いたいと考える企業が増える背景と、その狙い
スマートフォンやタブレット端末の台頭などが契機になった
[画像のクリックで拡大表示]