スティーブ・ジョブズのプレゼンでは、最後に聴衆への感謝と製品への愛情を伝えて終わります。連載10回目の今回は、1回目で紹介したプレゼンの9つの要素の中から「9 効果的に締めくくる」英語表現を紹介しましょう。

1 冒頭で注意を引く
2 経緯を報告
3 ロードマップを描く
4 敵役の登場
5 ヒーローの登場
6 デモ
7 多角的にアピールする
8 目標と数字の提示
9 効果的に締めくくる

◆感謝と愛情を伝える

Thank you so much for coming this morning, and we hope you love the iPad as much as we do. Thank you very much.

今朝は、来てくれてありがとう。みんなが、私たちと同じくらいiPadを好きになってくれればと願うよ。どうもありがとう。

Apple Announces iPad(2010年1月27日)より

封筒から取り出して見せたり、iPadを電話でもパソコンでもない「サードカテゴリ」と紹介したりするなど、印象的だったプレゼンの最後の場面。ジョブズらしい最後のインパクトは「私たちとiPadを好きになってくれれば」でした。自分たちが情熱を傾けて開発した製品であり、どれほど心血注いだかが伝わってきます。最後の締めくくりにジョブズが示したのは、聴衆への感謝と、製品への愛情でした

◆英語表現

Thank you so much for ~.
~をどうもありがとうございます。

 Thank youにso muchを付け加えることで、very muchよりさらに丁寧で正式な印象の言葉になります。I appreciate ~. (~を感謝します。~をありがとうございます)も丁寧な謝辞に使われますが、日本人には発音しにくいし、どちらかというとメールやレターなどで書くときに多く見られる表現です。口語ではThank you so much で十分に丁寧な印象になります。forのあとはcoming やyour attentionなどの名詞扱いの言葉を続けます。

◆応用例

Thank you so much for attending our meeting today.
今日はミーティングにご参加いただきありがとうございました。

Thank you so much for allowing us to make a presentation.
プレゼンをさせていただきましてありがとうございました。

上野 陽子(うえの・ようこ)
カナダ・オーストラリアに留学ののち、ボストン大学コミュニケーション学部修士課程でジャーナリズムを専攻。通信社の国際金融情報部、出版社にて国内海外の作家・実業家の担当、海外エージェントとの交渉や、シリコンバレー、欧米デジタルシーンの取材など経てフリーに。海外通販会社の執行役員を経て、諸媒体の翻訳・執筆・プロデュースを手掛ける。著者に、『名作映画いいとこだけの英会話』(ダイヤモンド社)、『気持ちが伝わる英会話のルールとマナー』(日本実業出版社)、『とっさに頼れるオフィスのスマート英語』(実業之日本社)ほか多数。
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