Tizenは、携帯電話やスマートフォン、スマートTVや車載システムをターゲットとしたOSおよび開発環境だ。今後、多くのメーカーに採用される見込みで、既に韓国Samsung社が国際家電展示会「CES2012」で携帯プラットフォーム「Bada」をTizenに統合することを明らかにしている(関連記事)。

 Tizenの特徴は、アプリケーション開発環境がHTML5ベースであること。そのため、多くのWebアプリケーションエンジニアを取り込める。Tizen SDK early previewは、開発者向けに先行提供したもので、同プロジェクトの初の成果物となる。

 Tizen SDKはこちらからダウンロードできる。同SDKは、仮想環境で動作する。現在はUbuntu 10.04以降, Windowx XP SP3, Windows 7それぞれの32ビットのみをサポートしており、今後はMac OSX版もリリースされる。

 まずはSDKに必要なパッケージをインストールする。1つはJavaだ。OpenJDKを使えないので「sun-java6-jdk」を導入し、

$ sudo apt-add-repository ppa:flexiondotorg/java
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install sun-java6-jdk 

続いてエミュレータソフト「QEMU」などをインストールする。

$ sudo apt-get install qemu-kvm binutils-multiarch debhelper fakeroot realpath libsdl-gfx1.2-4 gettext procps xsltproc libdbus-1-3 liblua5.1-0 libexif12 libcurl3

 その後、ダウンロードしておいたインストーラー「tizen_sdk.bin」を実行する。

$ chmod +x tizen_sdk.bin
$ ./tizen_sdk.bin 

 するとウイザードが起動する。1.2Gバイトの空きスペースが必要になる。また、インストーラーにはSDK本体が含まれてなく、自動でダウンロードする。サイズが大きいので完了までネットワーク環境によっては1時間以上かかる。

 完了するとアプリケーションのメニューから「Emulator Manager」「Install Manager」「Tizen IDE」の3つが見える。Emulator ManagerはTizenの仮想環境を作成、管理、実行するソフト、Install ManagerはTizen SDKのアップデーターおよびアンインストーラー、Tizen IDEはTizenアプリ開発環境とEclipse本体だ。

 Emulator Managerの起動はコマンドラインから実行する。

$ ~/tizen_sdk/Emulator/bin/emulator-manager

写真1●TizenのGUIをQEMU上で起動したところ
写真1●TizenのGUIをQEMU上で起動したところ
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 Emulator Managerを起動すると管理画面が表示される。デフォルトでx86ベースの仮想環境が作られており、設定を変えたり新たに仮想環境を作ったりできる。preview版ではARM版の仮想環境が作れないようだ。

 「Start」をクリックすれば起動する(写真1)。ネットワークがつながるのでWebブラウジングできる。しかし日本語に対応していないので日本語はすべて化けてしまう。

 previewにしてはかなり完成度が高い。いろいろな点でAndroid SDKに似ている。一番似ていると感じたところは「ADB(Android Debug Bridge)」と同等の「SDB(Smart Development Bridge)」コマンドがあり、これを使って仮想環境とのファイル交換、シェルでの操作が可能になったことだ。

$ ~/tizen_sdk/SDK/sdb/sdb
Smart Development Bridge version 0.0.1
Usage : sdb [option] [parameters] (以下、省略)