コンサルタントやマーケティング、セールスといった、システム設計やコーディングなどには直接携わることがない職種の年収は高い。一方、ITスペシャリストやソフトウェアデベロップメント、アプリケーションスペシャリストといったシステム開発を支える職種の年収が低い(図1)。

図1●ITエンジニアの年収推移(職種別、スキルレベル別)。回答数が29人以下の参考値はプロットしていない
図1●ITエンジニアの年収推移(職種別、スキルレベル別)
回答数が29人以下の参考値はプロットしていない
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 職種間の年収格差は、決して小さくはない。だが、わずかではあるが格差は縮小傾向にある。過去3回の調査において、スキルレベル5の年収差が最も大きかったコンサルタントとアプリケーションスペシャリストで比較してみると、2008年の調査における年収差は271万円、2009年の調査では261万円、2010年の調査では235万円だった。今回の調査では、211万円に狭まった。

 差が縮まっている原因としては、レベル5のコンサルタントの年収が大きく下がっていることがあげられる。2008年は927万円だったが、今回は869万円である。一方、レベル5のアプリケーションスペシャリストの年収は、2008年が656万円、今回は658万円と、ほぼ同一水準をキープしている。

 図1では職種別の年収上昇率も分かる。各職種で参考値が少ないレベル1からレベル4までの範囲で見ると、スキルを高めることで年収が最も上昇する職種はプロジェクトマネジメントである。年収は291万円上昇する。これにマーケティングの261万円、ITアーキテクトの250万円が続いた。

 これに対し、ソフトウェアデベロップメントは152万円、アプリケーションスペシャリストは207万円、ITスペシャリストは208万円である。生産性や品質の向上を実践できる優秀な人材を確保するためには、この領域の仕事の付加価値を高め、特にミドルレベルでの待遇を改善していく必要があるだろう。