システムの企画や開発、運用や販売などに携わるIT人材は、どの程度のスキルを持っているのか、どのような意識で仕事に取り組んでいるのか。約3万人に対する調査結果から、IT人材の実像が明らかになった。職種間の給与格差は縮まっているものの、仕事に対する「やりがい」や、キャリアアップに対する意識が二極化している。

 平均年収は36.3歳で504万円。10人のうち4人以上(44.8%)が仕事に「やりがい」を感じ、3人に一人はITスキルを生かした独立や転職を視野に入れている。その一方で、6.7人に一人(14.9%)は将来のキャリアをあまり考えてなく、6.3人に一人(15.8%)は仕事にやりがいを感じていない――。

 IT人材のスキルやキャリアを研究するNPO法人「ITスキル研究フォーラム(iSRF)」は、国内で就業する約3万人のITエンジニアを対象に調査を実施した。その結果から浮かび上がってきたのが、冒頭に示した二極化するIT人材像だ。

平均年収は年々低下

 調査では、経済産業省が策定した指標「ITスキル標準(ITSS)」に基づいて、IT人材の職種やスキルレベルを分類した。職種はITSSにある11職種に、「品質保証」を独自に加えた。スキルレベルは1から7まであり、7に近づくほどプロフェッショナルとしてのスキルを身につけているとされる。レベル1に達していない場合は、「未経験レベル」とした。

 約3万人の回答結果を基に算出した職種別、スキルレベル別の平均年収と平均年齢をに示す。有効回答数が全体の0.1%未満(29人以下)は、参考値扱いとした。回答がなかった職種、スキルレベルは「-」で示す。

表●職種別、スキルレベル別の平均年収・年齢
表●職種別、スキルレベル別の平均年収・年齢
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 参考値を除いた場合、平均年収が最も高かった職種は「コンサルタント(平均年齢42.0歳)」で694万円、低かったのは「ソフトウェアデベロップメント(同32.6歳)」の416万円である。スキルレベルを加味した場合は、最も高かったのが「プロジェクトマネジメント(レベル6)」の878万円(平均年齢47.8歳)、最も低かったのは「アプリケーションスペシャリスト(未経験レベル)」の343万円(同25.7歳)である。