スマートハウスの国内標準が固まった。国内の製造、エネルギー、ITなど主要企業741社が参加するスマートコミュニティ・アライアンスのスマートハウス標準化検討会が2月24日に発表した。通信可能な電力メーター「スマートメーター」と、住宅内の機器を制御する「HEMS(ホームエネルギー管理システム)」との通信や、HEMSと家電など電子機器との通信に関するインタフェース仕様を定めている()。

図●スマートハウス標準化検討会が決めた国内標準
図●スマートハウス標準化検討会が決めた国内標準
スマートメーターとHEMS間、HEMSと家庭内機器間で「ECHONET Lite」を採用した

 国内標準の決定は、スマートシティの実現に向けた大きな一歩だ。都市機能を情報システムで高度化し、利便性やエネルギー効率を高めるためには、住宅のエネルギー管理を担うスマートメーターとHEMSの普及や連携が不可欠。両者は個別には普及しつつあるが、連携は実現していなかった。

 東京電力は2月28日、この標準仕様に基づいて2013年夏にもスマートメーターを導入する計画を公表した。ほかの電力会社や電子機器メーカーも、この標準仕様採用の動きに続く見通しだ。「スマートメーターは標準仕様に対応する予定」(関西電力)。仕様は公表されており、中小企業やベンチャーの市場参入も期待できる。

 今回、標準として採用したのは「ECHONET Lite」と呼ぶ仕様だ。国内の電子機器メーカーや電力会社などが参加する業界団体エコーネットコンソーシアムが、2011年6月に策定した。検討会の発足は2011年11月なので、3カ月あまりで標準を決めたことになる。東日本大震災以降、電力事情が悪化し、国内でスマートメーターとHEMSを連携させたいというニーズが高まったためだ。

 一方で課題もある。今回決まったのはあくまで国内標準に過ぎない。これが国際標準になるかどうかは未知数だ。現状では、米国で「SEP(Smart Energy Profile)2.0」、欧州で「KNX(KONNEX)」の策定作業が進んでおり、これらが国際標準となる可能性は十分ある。スマートシティ関連技術の海外展開を目指す企業は、国内標準と国際標準の両方を視野に入れなければならない。

 経済産業省は欧米の標準化組織と連携し、標準の融合や相互補完を働きかける。「ECHONET Liteは約80種類の機器を細かく制御できる。この点をアピールしていく」(経産省)とする。