村上氏写真

村上 智彦(むらかみ・ともひこ)

 1961年、北海道歌登村(現・枝幸町)生まれ。金沢医科大学卒業後、自治医大に入局。2000年、旧・瀬棚町(北海道)の町立診療所の所長に就任。夕張市立総合病院の閉鎖に伴い、07年4月、医療法人財団「夕張希望の杜」を設立し理事長に就任同時に、財団が運営する夕張医療センターのセンター長に就任。近著書に『村上スキーム』。
 このコラムは、無料メールマガジン「夕張市立総合病院を引き継いだ『夕張希望の杜』の毎日」の連載コラム「村上智彦が書く、今日の夕張希望の杜」を1カ月分まとめて転載したものです(それぞれの日付はメールマガジンの配信日です)。運営コストを除いた広告掲載料が「夕張希望の杜」に寄付されます。

2012年2月6日(北海道どさんこパンチ in 旭川)

 1月28日に旭川の緑ヶ丘にある中小企業大学旭川校で「北海道どさんこパンチ in 旭川(荻ちゃん壮行会&ホルモンサミット)」が開催されました(写真)。ちなみに、荻ちゃんというのは北極冒険家の荻田 泰永さんのことで、2月にいよいよ北極に向けて出発する予定です(荻田氏のホームページ)。

 今回のどさんこパンチは、旭山動物園長の坂東元さんの講演から始まりました(写真)。一見物静かな方ですが、破綻寸前の動物園に飛び込んで立て直していった実績は多くの皆さんに希望を与えたと思います。

 次に北海道の木材にこだわって活動している手作りギター職人の小田島尚人さんの講演でした(写真)。元々岩手県の方ですが、北海道の自然や林業のことまで考えて下さっています。

 最後に荻田康永さんの講演がありました(写真)。北極点への徒歩で単独無補給での挑戦は、成功すれば日本人初(世界では4人目)の快挙になります。

 最後に私と坂東さん、荻田さんのミニシンポジウムがあり、「挑戦」について語り合いました(写真)。

 どさんこパンチは別に政治団体でも宗教団体でもなくて、北海道に思い入れを持ち、現状を変えて将来を考えて行く人達の集まりです。一般の市民、学生、公務員、会社員、学校の教員、医師、看護師などなど、職種は様々ですが、皆さん問題意識を持ち、現状を何とかして次の世代にバトンタッチしていこうといった思いが共通していると思います。元々佐賀県武雄市長の樋渡啓祐さんを北海道にお呼びして講演をしてもらったのがきっかけで、名前は彼の著書「首長パンチ」から来ています。

 懇親会は北海道の各地から集まったホルモンを、冬の旭川の野外のテラスで炭火で味わいました。北海道の冬に野外でバーベキューという発想はなかったのですが、これが意外に暖かくて、本当に美味しかったので驚きました(写真)。

 マスコミは地域の疲弊や悲惨なことばかり伝えがちですが、一番大切なのは人であり、その人達の思いであるように思えます。こんな集まりが北海道を変えていくと信じて、次も出席しようと思います。次回は3月3日15:00-18:00に「北海道どさんこパンチ in 十勝」が開催されます。会場は清水町中央公民館(北海道上川郡清水町南3条3丁目1番地)です。

 私は久しぶりに旭川の実家に泊まりましたが、帰りは岩見沢の大雪で大変でした(写真)。

 2月は週末がいつも講演で出張になりそうです。場所その他についてはツイッターやフェイスブック、ホームページやメルマガでその都度お知らせします。ぜひお越しください。

2012年2月13日(記録的な大雪)

 今年の北海道の雪は12月に始まり、1月も大雪が降り続きました。私も趣味とはいえ、これほど長時間雪かきをしたのは初めてです。今年から採用された(?)72式除雪戦闘車も大活躍で、燃料のガソリンを20リットル缶で購入してくるのですが、すでに3回は行っています。

 隣町の岩見沢市の大雪の様子はニュースでも随分取り上げられました。1月までにすでに記録的な降雪量で、42年ぶりに記録が更新されて194cmに達していました。もちろん東北ではさらに雪の量は多いのですが、降雪と共に氷点下10度以下の厳しい冷え込みとセットですので、冬に慣れている北海道でもなかなか大変です。

 2月に入って一息つくかと思いましたが、今日も大雪で交通が麻痺(まひ)しています。雪に慣れているとはいえ、これだけの大雪が降りますと交通の障害以外にも、屋根からの落雪で犠牲者が出たり、高齢者が孤立したりともはや災害に近い状態になっています(写真)。

 岩見沢に近い夕張も同様に大雪に悩まされています。高齢化が日本一進んでいる夕張市では、除雪作業も大変ですし、莫大な除雪費で予算が底をつき、生活にかなり支障が出ています。雪が激しく降らない日は晴れていますので、放射冷却現象が起こり連日氷点下20度近い日が続きます。大雪が降って、雪が落ち着くと今度は極寒の中で雪かきをやるといった生活が続いています。職員も患者さん達も連日の雪かきで疲れや腰痛で大変な様子です。実際、転倒事故や風邪などが増えて、体調を崩して入院する高齢者が増えました。

 積雪が1日30cmと聞いて大変さがピンとこない方もいるかも知れませんが、これは平地での話です。この量の雪は道路の除雪や風などで集められると数メートルの高さになり、すごい量です。屋根の雪も数日で1メートル以上になりますが、この手の雪は溶けたり圧縮されていますので、かなりの重さがあります。1メートル当たり300~500kgくらいになるので、1軒の屋根では数トンの重さになります。

 これがストーブの熱や外気温の上昇で一気に落ちてくると、まさに雪崩状態で、実際にこのような屋根からの落雪で亡くなった方がいます。今年は屋根の雪を落とす道具もホームセンターで仕入れたので、自宅周辺で落雪事故が起こらないようにもう少し頑張って大雪を乗り切りたいと思います。

 昔を考えてみますと、私が子供の頃にも何度か大雪がありました。除雪道具も防寒具も貧弱で、車のタイヤの性能も低くてチェーンを巻いていました。道路の除雪も今ほど充実していなかったわけですから、轍(わだち)が出来てスタックすることも多くて、運転や生活も今よりも大変でした。いつしか便利さに慣れてしまった生活が、新たな不便さを生んでいるのかも知れませんね。

 2月に入っても研修や見学の方が随分来ています。被災地への支援活動も続いていて、老人保健施設の若手職員2人が今日も現地で頑張ってくれています。来年度に向けた新たな取り組みの準備で、職員も連日忙しく走り回っています。今後の取り組みについては、またメルマガその他でお知らせしていこうと思います。

 さて、2月に講演が続くことに前回触れましたが、大ざっぱな予定は
  2月11日 第16回在宅ケアネットワーク栃木
  2月12日 山口県長門市講演
  2月18日 東京 健保連講演
  2月25日 札幌市 講演
といったところです。詳細についてはその都度ホームページやツイッター、フェイスブック等でお知らせしています。お時間のある方はぜひお越しください。