前回に引き続き、世界初のクアッドコアCPU搭載タブレット「Eee Pad TF201」(台湾ASUS)の実性能を調査していく。これは前機種「Eee Pad TF101」と同様に、タブレット兼ノートPCとして使える機種だ。米NVIDIA社製のモバイル端末向けクアッドコアプロセッサ「Tegra 3」を採用している。
筆者は「ITpro どろいど探検隊」や「Android端末短期集中レビュー」という連載を担当していることもあり、普段からノートPCと1台以上のAndroidタブレットを鞄に入れている。今回はそれらの代わりに、TF201を1台だけ持ち歩いて過ごしてみた。その体験から分かったのは、全体的な体感速度が、今まで検証してきたAndroidタブレットの中でもトップクラスということだ。
同じNVIDIAのデュアルコアCPU「Tegra 2」を搭載しているTF101と比較しても、TF201の方がホーム全般の動きが滑らかで、アプリケーションの起動も速い。
TF101も基本的には快適に動作するのだが、比較的重いWeサイトをスクロールしている時などに、画面がひっかかるような動きが時々見られた。この辺りはTF101と同じくデュアルコアCPUを搭載する米AppleのiPad 2に及ばない部分で、少々もやもやと感じるところ。だがTF201を使ってみればそうした不満が払拭されるはずである。
TF201とTF101では画面の解像度やメモリー容量、内蔵メモリーの種類は同じ。またそれぞれの評価機はいずれもAndroid 3.2.1を搭載している。従ってプロセッサの性能差が体感速度に反映されやすい。TF201になってタッチパネルのチューニングが進んだことも操作性向上の一因と見られるが、やはりプロセッサのクアッドコア化によって底上げされている印象だ。
総合性能はデュアルコア機の1.5倍
では実際の性能はどうか。各種のベンチマークテストで明らかにしていこう。まず端末の総合的な処理能力を把握するため、「Quadrant Professional Edition 2.0」を実施した。Quadrantは前回登場した「Antutu」と同様に、Android端末向けの代表的なベンチマークソフトである。プロセッサやI/O(入出力)、2D/3Dグラフィックなどの性能をテストし、総合的に評価する。
同アプリは2012年2月からバージョン2.0がリリースされている。これに伴いマルチコアプロセッサや最新OSであるAndroid 4.0(開発コード名Ice Cream Sandwich)への対応が進んだ。今回はこのバージョン2.0によるベンチマークを両機種とも5回ずつ実施し、その平均値で比較した。
その結果、TF201はTF101のおよそ5割増しとなる「2715」を記録。TF101は「1751」だった。またベンチマークの実行後に表示される性能チャートによればTF201は、「GALAXY NEXUS」などデュアルコアCPU対応の最新スマートフォンと比較しても高い性能を備えることが分かった(写真1)。