ソーシャルネットワークサービス(SNS)のFacebookは、全世界で8億人以上のユーザー数を誇る世界最大のSNSです。日本国内でもユーザー数が1000万人を超えるなど、人気の高いサービスです。Facebookは、SNSとしての使い勝手のよさもさることながら、アプリケーションのプラットフォームとしても注目されています。とりわけ大企業を筆頭に、ビジネスツールの一つとしても活用されています。
この特集では、企業アプリなどをFacebookのプラットフォームで活用する方法から、筆者が実際にFacebookアプリの作成を通じて得た様々なノウハウも紹介していきます。
Facebookページとアプリ
Facebookをアプリケーションのプラットフォームとして活用するには、Facebookの仕組みを理解しなければなりません。まず、Facebookのアカウントから見ていきましょう。
一般的に個人と法人といった区分があるように、Facebookのアカウントにも「個人アカウント」と「Facebookページアカウント」の二つが存在します。個人アカウントは、読者の皆さんがFacebookを最初に利用する際に登録したアカウントです。一方のFacebookページアカウントは、例えば企業名などの任意の名前を付与できるアカウントのことです。Facebookページアカウントとして発言ができるなど、個人アカウントと同じように振る舞うことができます。
Facebookページには、Facebookが用意している項目に情報を入力して公開したり、ウォールに書き込んで情報を発信したりする機能が最初から設けられています。さらに「アプリ」を組み込んでページを拡張することも可能です。
このアプリとは、Facebookが公開しているAPI(Application Programming Interface)を利用して作られたWebアプリケーションのことです。例えば、筆者が所属するクロコスでは、Facebook上の友達とイベントなどのスケジュール調整を行う「Crocosスケジューラ」や、Facebook上で懸賞を開催する「Crocos懸賞」などのアプリを開発しています*1。
二つのタイプを使い分けよう
先述したアプリには様々なものが存在し、大きく二つのタイプに分類できます。一つは、アプリ単体で動作するタイプです。このタイプのアプリは、ユーザーとアプリの間だけでやり取りが完結します(図1)。WebアプリケーションからFacebookが公開しているAPIを使って、Facebookの情報を取得したり、Facebookに情報をアップロードしたりします。弊社のサービスでは、Crocosスケジューラが該当し、アプリ上でユーザー同士が情報をやり取りします。
もう一つは、Facebookページに組み込むタイプです。こちらは、Facebookページとユーザーの間にアプリが入ってやり取りします(図2)。Crocos懸賞はこちらのタイプです。Facebookページがアプリを利用して懸賞を開催し、ユーザーがそれに応募する仕組みになっています。Facebookページにアプリを組み込むと、Facebookページの左側のメニュー(Facebook上では「タブ」と呼ばれます)にアプリが追加されます(図3)。ユーザーがアプリのタブをクリックすると、インラインフレームを経由してアプリが呼び出されて、あたかもFacebookページの機能のようにアプリを利用できます。
Facebook上でアプリを作る場合は、作りたいアプリの性質に応じて、どちらのタイプで作成するのかを選択することになるでしょう。本特集では、アプリの作り方について解説しますが、どちらの方法でも同じAPIを利用するので開発手法に違いはありません。
株式会社クロコス