「情報は、水、食べ物、お金と同じようにライフラインだ」。助けあいジャパン理事の石川淳哉氏は言う。助けあいジャパンは、震災復興のための情報Webで提供しているプロジェクトだ。ボランティア情報、復興情報、現地からのレポート、情報源へのリンクなどその情報は多岐にわたる。

写真●助けあいジャパンのWebサイト
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 助けあいジャパンは佐藤尚之氏が東日本大震災の翌日に政府、官民連携の情報支援「民間ボランティアプロジェクト」として提案し始まった。「ただし、政府からの予算はゼロ」(石川氏)。集まったメンバーの持ち出しやオフィス提供、企業からの支援で、突貫でサイトを構築し、情報を集めた。2011年3月22日にサイトがオープンした(佐藤氏のブログ

 当初サイトのメインコンテンツのひとつなったのが、sinsai.infoの情報だった。sinsai.infoは3月11日の震災当日に立ち上がった、ボランティアによる震災情報サイト。多くのボランティアがインターネットから情報を集めて地図上に掲載していた(関連記事)。「sinsai.infoのメンバーたちは床に座り込んでノートパソコンのキーボードをすごい勢いで叩いていた。『うおお』と叫びながらキーを叩いてる人もいた。映画『サマーウォーズ』のようだった」と石川氏は振り返る(石川氏のブログ)。

 藤代裕之氏らが3月15日に立ち上げた 「災害ボランティア情報」まとめサイトも助けあいジャパンに合流し 「助けあいジャパン ボランティア情報ステーション」となった(藤代氏のブログ)。

 政府省庁の情報は、毎晩、その日の発表情報を集めてコピーライターがわかりやく書き直し掲載した。「毎日、毎日、ずっと続けた」。英語でも発信した。Google Docs上でメンバーがそれぞれのセンテンスを翻訳し、全体の用語を統一する担当がいて、最後にネイティブがチェックする。“ソーシャル翻訳”とでも呼ぶべきやり方だった。

 サイト構築も作業もほとんどインターネット上で、FacebookやDropboxなどのクラウドサービス上でのやりとりで進められた。「全メンバーがあつまったのは最初の頃一度きり」(石川氏)だったが、ネットを通じて多くの個人、企業の力が集まった(助けあいジャパン プロジェクトチームと支援企業)。