毎年夏に米カリフォルニアで開催される「SES」というイベントに今年も参加してきた。これまでSESは「『Search Engine Strategies』の略称であり、検索エンジンマーケティングに関する専門イベントである」と説明されてきた。だが今年からは「SES」が正式名称となった。これは検索エンジンマーケティングの在り方の変化を端的に表している。
背景にあるのは、検索が行われるシーンや、検索結果として表示されるコンテンツの多様化だ。とりわけ「Twitter(ツイッター)」や「フェースブック」などのソーシャルメディアの発展は大きな影響をもたらしている。実際、SESにおいても去年あたりから、ソーシャルメディアとの連携に関するセッションがかなり増えてきた。
これは「脱検索」という動きではない。ソーシャルメディアにおける口コミがいくら人々を購買に向かわせる力を持ったとしても、我々が欲しいものを能動的に検索するという行為は無くならないからだ。Twitterにもフェースブックにも検索機能が備わっており、検索をする機会はむしろ増えている。
そんななか今年のSESで目を引いたテーマが「パフォーマンスマネジメント」、すなわちこうしたソーシャルメディアの媒体・チャネルと検索エンジンをいかに連携・融合させてパフォーマンス(成果)につなげていくのか、という課題だった。
例えば、ディスプレー広告やTwi-tter上のつぶやきなどを、消費者が商品やサービスを検索したくなる動機づけにいかに活用できるかという課題だ。
ソーシャルメディアに対応した検索エンジンが充実するなかで、自社の商品やサービスに関するTwitter上のつぶやきや、YouTube(ユーチューブ)向けの関連映像をどう発信すれば検索結果の表示でプレゼンスを高められるかということも、新たな課題になりつつある。
あるセッションでは、サイト内検索の重要性に関する議論がされていた。例えばサイト内検索では、商品名などを正確に入力しないと「該当無し」と表示されてしまうケースが少なくない。この対策として、類似するつづりを推測できる高機能な検索エンジンを導入するか、あるいは検索される可能性のある単語を多数登録しておく(例えば「日経情報ストラテジー」だけでなく「日経ストラテジー」「情スト」も登録しておくなど)ことで、何かしら商品がヒットするようにしておく工夫も不可欠である。
ソーシャルメディアの発展につれて検索エンジンマーケティングの手法もますますホットな話題になっていくことを確信できた今年のSESだった。