起業(スタートアップ)を再現性のある「科学」にし、成功率を高めようという試みが盛んになってきた。ここでは、その情報源のいくつかを紹介しよう。

 まずは、本特集のインタビューで登場したスティーブ・ブランク氏関連。ブランク氏は、1週間に1度のペースでブログを更新している(写真1)。ブログでは、彼の講座のパートナーや卒業生などが登場し、ブランク氏だけでなく彼らの考えや活動も紹介されている。起業の聖地と呼ばれるシリコンバレーの様子がうかがえる、ユニークなコラムだ。ITproでは、シリコンバレーの起業事情に詳しい山本雄洋(Tak Yamamoto)氏と木村寛子氏の協力を得て、彼の数多くの投稿のうち日本の読者向けのものをピックアップし、連載している(「今こそ!シリコンバレーに学ぶ“興す力”」)。

写真1●スティーブ・ブランク氏のブログ
写真1●スティーブ・ブランク氏のブログ

ブランク氏は新著を発行

写真2●ブランク氏の新著「The Startup Owner's Manual」
写真2●ブランク氏の新著「The Startup Owner's Manual」

 ブランク氏の過去10年の講義やブログを基に、起業家向けノウハウをまとめた最新書が「The Startup Owner's Manual」である(写真2)。3月に刊行されたばかりで、スタートアップ企業を興す際の仮説のまとめ方や、Web/モバイル向けのデジタル製品と実体のある商品の比較、顧客の獲得・維持・成長方法などが紹介されている。

 彼の有名な著書が、約10年前に出版された「the Four Steps to the Epiphany」。Webブラウザを開発した米ネットスケープ・コミュニケーションズの創業者であるマーク・アンドリーセン氏は、この著書について「ハイテク関連の起業家には最良の本だ。買って、枕の下に置いておき、そこから頭に浸透させろ」とブログで書いている。日本語訳版の「アントレプレナーの教科書」もオンラインで入手可能だ(2012年3月6日現在)。

 ブランク氏のスタンフォード大学での講座「The LeanLaunchPad」の内容は、同大学のサイトで見ることができる。ブランク氏のアプローチを生かした大学の科学者・技術者向けの起業プログラム「I-Corps」は、NSF(全米科学財団)のサイトで詳細が紹介されている。活動は2~3カ月単位。1年間で100チームが受講することになっているという。