今週、東京国際フォーラムで「Cloud Days Tokyo」「ビッグデータEXPO」「スマートフォン&タブレット」の3展が2日間にわたり開催され、延べ1万5000人以上が来場した。立ち見が出る講演もあり、「クラウド」や「ビッグデータ」への関心の高さがうかがえた。
クラウド専門展示会のCloud Days Tokyo 2012では、話題の中心がクラウドの運用面やパブリック/プライベートクラウドのハイブリッド化に移りつつあるようだ。企業がクラウドを本格利用し始めた状況を反映したものといえよう。ITベンダーからは、パブリック/プライベートクラウドから成果を引き出すためのアーキテクチャーやテクノロジーの提言が相次いだ。
一方、ユーザー企業としてキーノートスピーチに登場した東京海上ホールディングスの澁谷裕以執行役員IT企画部長は、クラウドの可能性に大きな期待を持ちつつも、サービス運用の透明性について「『クラウドだから見えなくてよい』というベンダーの姿勢には問題がある」と指摘した。クラウドの利用が高度化する中で様々な課題が出てくるだろうが、こうしたニーズに応えていくことでクラウドはより広い範囲で利用されていくに違いない。澁谷氏は、「社会インフラを、オープンに一緒に創っていこう」とITベンダーに呼びかけた。
東京海上HD、リクルートのキーノート
クラウドを使いこなすために、ITベンダーからの提言
- 「日本もクラウド技術の分野でリーダーになれる」、米インテル社のボイド・デイビス氏
- 「先進的な日本企業はすでにソーシャルへと変化」、米セールスフォース幹部
- 「『ハイブリッドデリバリ』に注目」、日本ヒューレット・パッカードの山口浩直執行役員ストラテジック・テクノロジー・オフィサー
- クラウドのホットトピは仮想化から自動化へ、日本MSの梅田本部長
- 「クラウド運用管理とEUC環境にフォーカス」、ヴイエムウェアが講演
- 「クラウドは新ビジネス創出を支援する」、日本IBMの西村部長
- 「クラウド環境が普及し、顧客の要求も変化している」、SIベンダーによるパネルディスカッション
- 「事例から見えたクラウド必勝法の5大パターン」、日本ユニシスが講演
- 「クラウドに必要な要素は幅広い。パートナー戦略を重視」、シスコ吉野執行役員
ビッグデータの最前線
ビッグデータEXPOでは、その最新利用動向やリアルタイムの大量データ処理技術が紹介された。
米アマゾン・ウェブ・サービシズ(AWS)のJohn Rauser氏が「Hadoopは神のようなエンジニアを不要にした」と語るように、ビッグデータ分析はより身近なものになりつつある。迅速で的確な意思決定を支援するツールとして、ビッグデータ分析はより存在感を増していくに違いない。
- 「Hadoopは神のようなエンジニアを不要にした」――。米アマゾンが講演
- 「"データの世界"が大きく変わりつつある」、米マイクロソフトのショーン・バイス氏
- 「クラウドとビッグデータの利活用でスマートな社会を目指す」、日立製作所の高橋氏
- 「ビッグデータには新しいDBが必要」、NECがKVSとRDBを組み合わせた新ソフトを訴求
- 「専用機でデータ分析は秒単位に、企業の増収に寄与」、SASの北川氏
- 「機械学習に基づく『データそのものが語る内容』を活用せよ」、富士通が取り組みを紹介
- 「次期SQL Serverがビッグデータ利活用の基盤になる」、日本マイクロソフト吉川氏
- 「洞察、行動、蓄積のサイクルでビッグデータは活用できる」、日本IBMの塚本理事
- 「企業成長の鍵は徹底した“従業員の行動管理”にあり」、エムオーテックスの高橋慎介社長