皆さんは、ビジネスプランとビジネスモデルの違いを明確に説明できるでしょうか。今回の投稿でブランク氏は、両者の違いを説明しています。彼の提案に基づいた“ビジネスモデル”コンテストの開催背景が今回の投稿のテーマとなります。(ITpro)

 先週、アレキサンダー・オスタワルダー氏と私は、ユタ州のソルトレイク市で第2回国際ビジネスモデル・コンテストに審査員として参加しました。この大会は、ブリガムヤング大学(BYU)のネイサン・ファー教授と、BYUアントレプレナー・センターの彼のチームによって主催されたものです。

 ビジネスモデル・コンテストのアイデアは、私が「ビジネスプランの書き方は文学部で教えるべきだ。なぜなら、ビジネスプランはアントレプレナーがまさに書こうとしている、最高にクリエイティブな作文の実例だから」と悟ったときに生まれました。

ビジネスプラン――事業遂行へのロード・マップ

 1960年代にベンチャーキャピタル(VC)とテクノロジー・アントレプレナーがチームを組み始めたとき、VCたちはMBAクラスで標準のプランニングツールとして使われていたビジネスプランを導入しました。

 ビジネスプランは、既存の企業が既存製品の後継製品を体系化し準備するには素晴らしい企画書です。既存の企業にとってビジネスプランとは、継続的な技術革新のための実行企画書と言えるでしょう。

 ビジネスプランの問題は、いったんそれが書かれた後は、それが固定化され更新が最小限になることです。顧客や販売チャネル、競合相手が分かっている企業には良いかもしれません。そして、あなたの売上計画が、幻想でない場合にも。

 しかし、スタートアップ企業とってビジネスプランは、実社会における混沌とした現実には対処できません。それでも毎年あるいは何十年も、VCたちは、すべてのスタートアップ企業のビジネスプランが、最初の顧客にコンタクトした後には生き残っていないことを見続けています。

 それでは、VCたちは何をしてきたでしょうか。彼らはスタートアップ企業に対して、投資する際にビジネスプランを作成することを強要し続けているのです。

 なぜでしょうか。

 それは、VCが「スタートアップ企業は大企業の小型版だ」と考えたからです。大企業がビジネスプランを作成したため、VCはスタートアップ企業にもビジネスプランを作成させたのです。大企業にはセールス担当副社長とマーケティング担当副社長がいるので、VCはスタートアップ企業にも同じようにすることを強要しました。ほとんどの大企業はビジネスプランを計画通りに遂行しましたが、問題があった場合は担当した幹部を解雇しました。このため、VCはスタートアップ企業も同じように対処すべきだと考え、プランが現実に即さなかったときには、幹部を解雇するのは当然だと考えたのです。

 現実には、スタートアップ企業には新しい種類の経営ツールが必要です。繰り返しが可能で拡張可能なビジネスモデルを探すことを支援するためのツールです。スタートアップ企業には、その仮説を体系化するためのツールと、その仮説を短期間で検証するプロセスが必要です。加えて、ほとんどのスタートアップ企業は製品と市場の適合を探し求め、発見するプロセスで失敗を繰り返すので、それを認識できるツールが必要なのです。さらに、ビジネスプランに適合できなかった幹部を解雇するのではなく、ビジネスプラン自身を急速に変更することが必要なのです。