総務省は2012年2月28日、平成23年度補正予算による情報通信技術の研究開発に係る9件の研究開発課題について、委託先候補を選定し発表した。

 今回の公募では、災害時の通信・放送の信頼性を高める様々な案件がテーマになっている。このうち例えば「多様な通信・放送手段を連携させた多層的な災害情報伝達システムの研究開発」の委託先には、NTT データ(代表研究機関)、NTTドコモ、マスプロ電工、東北大学、日東紡音響エンジニアリング)が選定された。

 同研究では到達目標として「配信コンテンツの自動生成技術として、公共情報コモンズやJ-ALERTを含めた三つ以上の情報源からの情報を複数の被災エリアごとに集約、管理するとともに、それらに基づき多様な通信・放送手段にそれぞれ適合し、地域住民が理解しやすい形式の配信コンテンツを自動生成することで、地方自治体職員の配信コンテンツの作成を支援する技術を開発する」「通信・放送手段の違いを意識せずに一元的に配信制御を行うことができる技術について、少なくとも緊急速報メール、デジタル放送を含む複数のサービスについて開発を行う」「実フィールドで検証し、その成果として地方自治体での導入を前提とした推奨すべきシステム構成について、消防庁などと連携し標準仕様としてまとめる」などが設定されている。

 ここでデジタル放送としては、V-Lowマルチメディア放送も配信手段の候補の一つと見込まれ、宮城県におけるV-Lowマルチメディア放送の実証実験との連動なども想定される(日経ニューメディア2012年2月27日号に関連記事)。

 このほか、今回委託先が決まったテーマと代表研究機関は以下の通り。

「大規模災害時における移動通信ネットワーク動的通信制御技術の研究開発」
・NTTドコモ

「大規模災害時における通信ネットワークに適用可能なリソースユニット構築・再構成技術の研究開発」
・NTT(持ち株会社)

「大規模災害においても通信を確保する耐災害ネットワーク管理制御技術の研究開発」
・KDDI研究所

「災害に強いネットワークを実現するための技術の研究開発」
・東北大学

「災害時に簡易な操作で設置が可能な小型地球局(VSAT)の研究開発」
・スカパ-JSAT

「災害情報を迅速に伝達するための放送・通信連携基盤技術の研究開発」
・NHK

「災害時におけるケーブルテレビ応急復旧システム(可搬型緊急用ヘッドエンド設備)の研究開発」
・DXアンテナ

「災害時におけるケーブルテレビ応急復旧システム(幹線応急復旧用無線伝送装置)の研究開発」
・京セラコミュニケーションシステム

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