スマートフォンアプリ開発のコツについてお話する連載、第2回となる今回は、スマートフォンアプリのUIについて述べたいと思います。前回のアイデア探しと同様に、あまり詳細に取り上げられることのない心地よいUIデザインについて持論を述べていきます。2011年12月に開催された「スマートフォン&タブレット 2011 冬」で筆者が講演した内容(関連記事)と重なる部分もありますが、ご容赦ください。

UIデザインはプログラミングよりも先に

 スマートフォンはアプリによって様々なツールに変わる汎用的なデバイスであると言えます。ユーザーは必要なアプリをインストールすることでスマートフォンの機能をカスタマイズすることができます。マーケットには相当数のアプリがリリースされ、このような汎用デバイスを通した機能利用の普及が進んでいます。従来は目的別の専用デバイスを購入していたわけですが、その一部はソフトウエアレイヤーによる供給に置き換わろうとしていることになります。

 工業製品の場合では、大量生産による普及期の段階においては機能や品質、価格が重視されていましたが、次第にデザインや質感、ブランドなどが購入の判断基準になっていきました。アプリについても既にデザインの重要性は理解されてきていますが、普及後は工業製品と同様に更にデザインに価値が置かれる可能性があります。

 ここで、筆者の著書『AndroidアプリUIデザイン&プログラミング』で説明しているプロセスについて引用します。開発作業は図1のようにアイデア探しからデザイン、プログラミングという流れになります。(ここで言う「デザイン」はグラフィックデザインだけではなくUIデザインも含みます。設計の意味は含みません。)デザイン作業は具体的にはアイコン作成、デザインリソースの準備、UI構成といった作業になります。また、Androidアプリのレイアウト設計はXMLによる記述になるため、ちょうどプログラミング作業への橋渡しとなるため作業内容の切り替えもうまく進むことになります。

図1●アプリ開発のおおまかなプロセス

 デザインはユーザーに接する部分であり、ターゲットユーザーに応じた最適な作り込みが求められることから、プログラミングよりも先行すべきです。また、UIデザインを後回しにすると作り手の都合、すなわち実装を優先しUIに対する配慮が疎かになってしまいがちなので、それを回避するためにプログラミングを後にします。デザインというのはどこまで作り込めば完成なのかという境界線がはっきりしないため、最初の段階から集中して作業することで十分なところまで作り上げる必要があるわけです。