前回はAndroid Designの「GET STARTED」の章に基づき、スマートフォンアプリでデザインがなぜ大切か、どのようなデザインが求められているかについて考察しました。今回はAndroid Designの「STYLE」の章について解説していきたいと思います。

 この章では主に「Androidアプリのルック&フィールをどのようにすべきか」、「複数の環境に対応するべきか」、「ユーザーにどのようなリアクションを返すべきか」の3つが書かれています。

 Androidのデザイン流儀は「Themes」、「Typography」、「Color」、「Iconography」のセクションで紹介されています。開発者の視点で注意すべきは、文字の大きさはsp単位を使うこと、、テキストの強調に色を使うことが推奨されていること、サイズや色はある程度統一した方が見やすいと言うこと、そしてアイコンのデザイン方法の3点でしょう。

 「sp」は、ユーザーが指定したフォントサイズに基づくサイズです。これに従うことで、ユーザーの文字をもっと大きく見たいという希望に添うことができます。デザイナーにとっては文字サイズが可変であるというのは悪夢かもしれません。しかしユーザー視点では小さな文字を読むのはアプリの利用を取りやめたくなるほどの苦痛です。

 ほとんどのアプリがそうであるように、デザイナーよりユーザーを優先させたいと思うのであればユーザーの要望によって文字サイズを変えられることは重要です。

 文字サイズを統一することは簡単に見栄えを良くする効果があります。たくさんの文字サイズを使うにはそれぞれの文字サイズのバランス、出現頻度、距離感について深く考察する必要がありとても困難です。

写真●文字のサイズと統一感
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 文字を強調する方法は文字を太字や斜体にしたり、アンダーラインを引くなどがありますがAndroidでは強調は色が使われます。色はアプリの強烈な個性となるので、適切な色を選ぶことは重要です。

 どの色を使うかはアプリのブランドにかかわってきますが、ここでも大切なことはたくさんの色を使いすぎないことです。

写真●文字の色と統一感
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 筆者としては、必要であれば文字のサイズや色はいくらでも使っていいと思います。しかし、バリエーションが増えるほどデザインは難しくなり、失敗しやすくなります。必要でなければ、文字のサイズは大見出し、中見出し、本文の3種類程度、色は白黒と、彩度をもった一系統にまとめることをお勧めします。

 Android Designでは書かれていませんが、アンダーラインがついた青(#0000FF)や紫(#FF00FF)はリンクと誤解されることがあります。立体的な枠に囲まれた文字列はボタンと誤解されます。

写真●リンクやボタンと誤解される文字
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 アプリに強い個性を持たせず協調性を重視したい時には、Android 4.0一般で使われている水色(#33b5e5)濃い水色(#0099cc)を使うとよいでしょう。