デザインはすべてのもので重要な要素ですが、スマートフォンアプリではデザインがより重要になります。スマートフォンはユーザーにとって最も身近で多くのユーザーがスマートフォンを肌身離さず持っています。サイフや腕時計にブランド品を求める人が少なくないように、人は身近にある物ほど自分の物であると強く認識し高級で品質を求めたいと感じます。

 PCに比べるとスマートフォンはより個人向けのデバイスですが、外に持ち出されることにより多くの人と触れ合います。美しい腕時計を自慢するように、スマートフォンやアプリを他の人に自慢されることがあります。この時紹介されるアプリのデザインは紹介するユーザーのセンスと捉えられるので、かっこいいデザインのアプリほど紹介したいと思うはずです。紹介された人が気持ちよく使えるように、マニュアルや操作説明を読まずに誰でもすぐに使えることも大切です。

写真●美しいデザインのアプリは自慢したくなる
[画像のクリックで拡大表示]

 アプリをデザインが未熟な状態でリリースし、評判が良ければ後から改良していくのは問題があります。一度リリースしたアプリのアイコンデザインは変えるべきではありません。ユーザーはアプリを名前ではなくアイコンの形で覚えているかもしれません。アプリのアイコンが変わるとユーザーはあなたのアプリを見つけることができなくなるかもしれません。これは、ユーザーからアプリを起動する手段を奪うことになり大きなストレスを与えることがあります。

 アイコンは極端な例ですが特殊な例ではありません。

 ユーザーが体で覚えた操作を、デザインを洗練するために無くしてしまうのは、ユーザーに大きなストレスを与える恐れがあります。

 Android 2.xまでのデザインは決して完璧とは言い難く、野暮ったい見た目と一貫性のない操作方法となっていました。Android 3.0では魅力的で柔軟なデザインを得るために従来から大きな変更が行われることになり、その副作用として既存のユーザーやデベロッパーへ混乱をもたらすことになりました。

リリース後のアプリを改良する事は大切ですが、一度リリースしたアプリはリリース前のアプリほど自由にデザインできるとは限りません。アプリがデザインを改良したいと思えるほど成功しているならなおさらです。

 アプリを開発する前に機能をよく検討するのと同じように、デザインもよく吟味してください。