真実のデータをつかむには、リアルタイムDWHの構築に加えて、データの中身を精査する必要がある。基幹系システムに散在している売り上げや販売、物流、在庫、顧客、取引先といったデータを組み合わせて初めて、ビジネスの最前線で起こっている真実が示せる。

 適切な範囲、深さのデータを集め、誰にデータを見せるかを決めるのはIT部門だ。データ項目は同じ「顧客」でも、部門によってそれが消費者なのか、取引先なのか異なるケースはよくある。「社内システムのデータの種類や内容を知っているのは、IT部門しかいない」と、全社DWH「FLASH」の構築を進めている双日の赤司一郎CIO補佐は指摘する。

 社内外から必要なデータを集め、それを適切に見せる環境を作ることが、真実のデータを活用する秘訣の二つめだ(図1)。

図10●真実のデータを提供するためのIT部門の役割。IT部門が中心となり、データを収集したり、経営や現場に見せたりする情報を決める
図1●真実のデータを提供するためのIT部門の役割
IT部門が中心となり、データを収集したり、経営や現場に見せたりする情報を決める
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製品カタログと分析を統合

 日常業務で利用するシステムにデータ分析機能を組み込んで、営業現場にデータを見せているのがエフピコだ。DWHには、自社開発の販売管理システムとERPパッケージのデータを統合してある。DWHの分析に向けては、製品開発の担当者といったデータの分析業務が多い現場向けにツールを用意した。

 もう一つ、営業担当者を中心に社内の約650人にデータを見せるために利用するのが「売れNavi」と呼ぶポータルサイトだ。自社製品の食品トレーを利用した盛り付け例の写真を6万枚掲載しているほか、自社製品のカタログ、営業提案書などを閲覧できる。そこに加えたのが、DWHから製品在庫や販売実績を分析する機能だ(図2)。

図11●エフピコの営業担当者向けポータルサイト「売れNavi」の画面。製品情報に加えて、データ分析機能を一体化して提供する
図2●エフピコの営業担当者向けポータルサイト「売れNavi」の画面
製品情報に加えて、データ分析機能を一体化して提供する
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