前回の記事で説明したHTML Flow elementsやHTML Microdataの仕様追加により、HTMLにおけるセマンティックの柔軟な記述が可能になりました。しかし、書き方が決まったとしても、その内容がバラバラではWebサイトの管理者がHTML文書を作成する際のコストが向上してしまいます。インターネットにおいて最も重要な性質は、相互運用性です。これを満たすためには、ベンダーを超えた仕様策定が必要になります。

検索エンジン提供ベンダーがスキーマ仕様を標準化

 HTML5にて追加されたHTML Microdata仕様によって、映画「Avatar」は以下のように記述することができることを前回の記事の中で紹介しました。

図1●HTML Microdataを使ってHTML内に意味を記述した例
図1●HTML Microdataを使ってHTML内に意味を記述した例
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 この例では、itemprop属性値として"name"、"director"、"genre"、そして"trailer"が登場しています。これらのセマンティックは、それぞれの検索エンジンやソーシャルメディアによって解釈されます。その際に、各サービスが期待する項目に差があると問題が生じます。

 例えば、意味的には同じ項目名なのに、検索エンジンAは"genre"を期待し、検索エンジンBは"category"を期待していた場合、Webサイトのオーナーは両方に対応するために冗長な記述を行わなければなりません。これらの項目名に標準化された仕様があれば、Webサイトのオーナーは最小限の記述で済むことになります。

 そこで検索エンジンを提供しているGoogle、Yahoo!、そしてMicrosoftの3社により、「Schema.org」が策定されました。