この連載では、Facebookを中心とした「ソーシャルメディア」を企業でどのように導入するかをテーマにしている。前回はソーシャルメディアを使った「情報収集」について説明した。

 具体的には「情報の価値を定義することが重要」「なぜ、情報価値を定義しない人が多いのか」「情報は最も信頼できるソースを見極めて収集すべきである」ことを筆者の業務を例に述べた。

 さらに、情報は人によって価値が異なるので、自分が欲しい情報がソーシャルメディアで取れないと、その手段としてのソーシャルメディア自体を否定してしまいがちになることも説明した。

 特に「役職が高い人」が手段としてのソーシャルメディアを否定すると、たとえそれが「ソーシャルメディアが悪いのではなく、人間が悪い」としても「手段としてのソーシャルメディア」がダメと評価され、以降長い間禁句のようになる危うさを述べた。

 筆者は「ソーシャルメディアは道具であり、使う人のリアルな仕事の優劣によって価値が変化する」と考えている。つまり、「ソーシャルメディアはリアルを忠実に写す鏡」「リアルの仕事がダメならソーシャルメディアもダメ」「リアルが優れていれば、ソーシャルメディアでさらに良くなる(増幅器効果)」と説明している。

 ソーシャルメディアを使った仕事がうまくいかないのは、「ソーシャルメディアが悪い」のではなく「人間が悪い」のである。筆者がこのコラムで書きたいのは、この実証となる内容である。

 今回のテーマは「ソーシャルメディアと収益モデル」である。これは、ソーシャルメディアの本質にかかわるテーマだが、結論は曖昧で不満足に感じるかもしれない。

 なぜなら、その結論は「リアルのビジネスで収益がでるようになっていることに加え、手段としてのソーシャルメディアを正しく活用している場合は収益につながるが、そうでない場合は収益に貢献するかが分からない」というものだからである。

 最初に言っておきたいが、ソーシャルメディアを導入したら何も考えなくても収益に貢献するという魔法のようなことはありえない。あくまで、リアルの収益モデルをしっかり考え、愚直に実行することが大前提である。

 このリアルの収益モデルの中で、どの部分で手段としてのソーシャルメディアを使うのかを考えることになるのだが、これがなかなか難しい。なぜなら、ソーシャルメディアに過度な期待を持ってしまい、ソーシャルメディアさえ導入すればあとは何とかなると誤解し、手段に手抜きが発生するからである。