ソーシャルネットワーキングサービスなどを使ってソーシャルメディアにWebサイトの情報を流すのが当たり前になってきています。ところが、そこで流れている情報は必ずしも読みたくなる情報や発信者の伝えたい情報ではないことが多々あります。これは、Webサイトの情報をソーシャルメディアに正しく伝えていないことが原因です。ソーシャルメディアに情報を伝えるための、標準仕様がいくつか登場しています。これらを駆使して、Webサイトの情報を正しくソーシャルメディア上で共有しましょう。

 2011年はソーシャルメディアがインターネット業界を超えて語られるようになった最初の年になりました。Twitter、Facebook、mixiといったソーシャルネットワーキングサービス(SNS)に加えて、グーグルもGoogle+を公開してSNSに本格参入してきたことで、主要プレーヤーが出揃ったと言えるでしょう。Webサイトのオーナーは、ソーシャルメディアを意識した対応が求められます。検索エンジンだけを意識していてはコンテンツをユーザーに見てもらえない時代が、すぐそこまで来ているのです。

誘導元は検索エンジンからソーシャルメディアへ

 インターネットのユーザーは普段、広大なインターネットから見たいWebページにどのようにたどり着いているでしょう? 実は、以下のような変化が起きています。

  • ステップ1:ディレクトリ・カテゴリ分けされた中から選択
  • ステップ2:キーワードから検索して選択
  • ステップ3:ソーシャルメディア上に共有された中から選択

 インターネットが広く使われ始めた当初は、ディレクトリ・カテゴリごとにWebページを整理し、ユーザーは電話帳から探すようにそのカテゴリからトップダウン式に自分の見たいWebページを探していました。その後、Googleに代表される検索ベンダーが台頭し、知りたいキーワードを入力してWebページを探すという方法が当たり前になってきました。

 このステップ2までは、ユーザーが独自に「見たいWebページ」に関連する情報を入力あるいは選択して絞り込んでいく手順となります。これはユーザーにとってかなり能動的な行為であり、“Webページを探している”ことを強く自覚して作業しているはずです。

 対して、ステップ3の「ソーシャルメディア上に共有された中から選択」ではユーザーの意識は大きく違います。ユーザーは次々と流れてくる「知りたいことが載っている(可能性が比較的高い)フィード」の中から、目についたものをピックアップしてWebページを訪問する、という手順になります。ユーザーにとっては“探している”という自覚はほとんどなく、“ソーシャルメディアを見ていて、たまたま見つけた”ということが多くなります。

 もちろん、最初はユーザーが情報の発信者をあらかじめ登録する必要があるので、その発信者を探すために検索に頼ることも多いでしょう。ですが、今日ではそれすらも「○○さんもフォローしませんか?」とソーシャルメディア側からレコメンドされます。能動的に探す行為は最初ちょっと頑張ればよく、あとは次々と流れてくる情報の中から選択していけばいいわけです。知りたい情報は待っていれば自分の手元に届く、そんな流れが当たり前になりつつあるのが現在なのです。

情報発信からキュレーションの時代へ

 ソーシャルメディアが登場する前は、アルファブロガーや出版社によってWebサイトやブログで情報が発信されていました。そのRSSフィードやAtomフィードを多くのユーザーが購読することで、新しい情報が伝播されていました。

 今では、発信された情報(Webページ)を多くのユーザーが他のユーザーにソーシャルメディアを使って伝播させています。ソーシャルメディア上に構築されたソーシャルグラフによって、伝えたい相手は「誰かわからない人たち」のではなく「わかっている集団全員」になります。そのため「この人たちに自分が見つけたWebページを知らせたい!」というモチベーションが続きます。さらにソーシャルメディアが提供する機能によって共有が非常に手軽にできるため、誰もが情報を収集、分類し、共有すること(キュレーションと言います)が可能になっています。

 そうなると、Webサイトのオーナーとしては、「検索エンジンから自分のWebサイトを見つけてもらう」ことに加えて、「自分のWebサイトがソーシャルメディア上で伝播される」ことが活発になるようにしていくことを考えていくことが必要です。そして、ページランクを上げてヒット率を向上させる検索エンジン向けのテクニックがあるように、ソーシャルメディア向けにもテクニックが存在します。今回の特集では、そうしたテクニックを学んでいきましょう。