米国や中国、日本、インドの事業者がこぞってサービスを拡充し、サービス合戦が活発化している中国へのBPO。海外へのBPO事情に詳しいガートナーの足立祐子リサーチディレクターに、サービスを選択する上で気を付ける点やポイントを聞いた。

(聞き手は宗像 誠之=日経コンピュータ



BPOサービスへの参入事業者が増えて、サービスの違いが一見すると分かりにくくなってきている。

ガートナーの足立祐子リサーチディレクター
ガートナーの足立祐子リサーチディレクター
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 既存のBPO事業者を比べると、明確なサービスの差はなくなってきている。同じ内容のサービスが増える中で、事業者として重要になるのは、業務処理をする現地のセンターでの従業員の定着率を高め、習熟度が高い従業員を多く囲い込めているかどうか。これらはサービス品質の差となって現れてくる。

 これらはなかなか事業者が公開しない情報なので、提案のときや事前コンサルティング、現地視察などの際にできるだけ詳しく確認したほうがよい。

コスト削減効果も差が見えにくい。「一般的には従来比3~4割削減が可能」とうたう事業者がほとんどだ。

 事業者がアピールする「BPOにより、従来比でコスト3割削減が可能」などの数字には注意すべきだ。数字自体に間違いはないのだろうが、BPOの業務のどの部分、期間を切り出して、従来の業務と比較した場合の数字なのかは確認したほうがよい。

 例えば、BPOを開始した直後の短期間を見た場合のコスト削減効果なのか、BPO移行から数年分のトータルのコスト削減なのか、おそらく事業者によって定義が異なるはず。これも、料金契約などの前のコンサルのフェーズで、事業者と詰めておいた方があとでトラブルにならないだろう。

ほかに気を付けるべき点は?

 これまで、どのような企業、業種のBPO受託でベストプラクティスを蓄積してきたかを調べた方がよい。

 例えば、自社がグローバル企業なのであれば、同じように海外展開している顧客をそのBPO事業者が抱えているのかどうかをチェックする必要がある。

 金融、流通など、自社が属する業界のBPOを過去に経験しているかどうかも重要。国内外の同業の顧客のBPOを手掛けた経験を持っているかどうかで、サービスの質に差が出てくる可能性がある。