ジェンパクトの前身は、米ゼネラル・エレクトリック(GE)のシェアードサービス部門。世界で最も早く中国でのBPOを開始した経緯を持つ。その後GEから独立し、独自の人材育成や業務ノウハウをウリにBPO専業の事業者として拡大を続ける。ジェンパクト日本法人の黄衛新 代表取締役に今後の戦略を聞いた。

(聞き手は宗像 誠之=日経コンピュータ



中国でのBPOで老舗だが、参入が増えて差異化が難しくなっている。

ジェンパクト日本法人の黄衛新 代表取締役
ジェンパクト日本法人の黄衛新 代表取締役
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 ジェンパクトは中国の拠点と人材を活用するBPOで長い歴史を持つだけに、現地の人材育成のノウハウは突出していると自負している。その証拠に、BPOで競合する事業者の中途採用では、我が社が育てた人材を引き抜くことが多い。

 人材の採用と育成、特にプロセス管理のノウハウとコーチングにより、サービス品質で差異化が可能だ。

今後のサービス強化のポイントは?

 今後、ビッグデータなどを分析する業務のBPOを本格展開する。そのための専用のツールを自社開発してセンター側での準備を整えてきた。従来のBPOのように大量のデータを処理するだけでなく、それを分析することで、顧客により大きな付加価値を提供できるようになる。

 顧客の購買業務の傾向分析が一例だ。調達元の業者、商品、数量、価格などを分析。スケールメリットを出してコスト削減し、より効率的な購買業務につなげる提案ができるようになる。

 販売実績の分析も可能だ。地域ごとの販売実績を比較し、地域ごとのギャップ分析をして、その地域差を埋めるための改善提案まで手掛けられるようにする。

日本から中国へのBPO需要について、どう予測するか?

 まだ伸びる余地が大きい。日系企業は欧米企業に比べ、BPOでアウトソーシングする業務量はかなり少ないからだ。欧米企業と戦うグローバル競争が厳しくなるなか、よりコスト削減を進めるためには、日系企業もBPOにもっと着目せざるを得なくなるだろう。

 東日本大震災は、BPOに注目が集まる契機にもなった。コスト削減の観点だけでなく、BCPの面からも、業務処理の拠点を日本以外の場所に設けておく必然性が認識された。大手だけでなく日系の中堅企業も中国へのBPOを検討し始めている。

ベンチマークしている事業者は?

 あえてベンチマークしているわけではないが、頻繁にコンペする頻度の多さからいうと、まず米アクセンチュアがあげられる。次に米IBM、中国の海輝軟件(国際)集団、インフォデリバの順で競合することが多い。