難易度の高い業務受託への対応では、分析業務への進出を狙う事業者が多い。例えば米アクセンチュアは、「ビッグデータ」に着目。大量のデータから、経営などに必要な情報を抽出して分析、レポート化までをBPOとして提供する。

 米系のBPO事業者であるGenpact(ジェンパクト)が着目するのもデータ分析の需要。顧客の購買データや販売実績などを分析し、業務効率化や改善の糸口を探るサービスを提供する予定だ。「分析業務を委託する需要は、必ず拡大する」(ジェンパクト日本法人の黄衛新 代表取締役)と語る。

 ジェンパクトでは新サービスのため、分析用の方法論やツールを独自開発。加えて、世界で約4000社の顧客からBPOを受託して蓄積したノウハウを生かし、難易度の高い分析もこなす人材教育を進めている。

 クラウドやシンクライアントなどの処理センターでの採用は、事業者としての業務効率化やセキュリティ向上のために進めている。InfoDeliverでは、従来は日本と中国の拠点それぞれにサーバーを設置していたが、このほど日本側へ集約。中国の拠点からはシンクライアントを使い、日本のシステムをネットワーク経由で使うクラウド環境を構築した。

 ソフトバンクグループも中国での業務担当者用にシンクライアントを提供。両社とも、シンクライアントの利用により、端末に業務データが残らない点をアピールする。

事前コンサルが重要に

 このようにBPO事業者が増えてサービス拡充も進む中、より重要性が増しているのが、BPOに移管する前のコンサルティングのフェーズだ(図2)。

図2●中国へ業務を移管しBPOを実施するまでの流れ
図2●中国へ業務を移管しBPOを実施するまでの流れ

 この段階で、どこまでの業務をBPOとして切り出せるかなどを調査し、コスト削減効果を算定する。多くの事業者が料金体系を「個別見積もり」としているのは、委託する業務の難易度や内容、作業量などで大きく料金が異なってくるからだ。

 毎月一定の作業量が発生する業務なのか、月ごとに繁閑差が激しい業務なのかでも、選択する料金体系は異なる。多くの事業者は、人月ベースや件数ベースなどの料金体系を用意している。

 ユーザー企業はコンサルを受けながら、BPOとして切り出す業務の内容により、最適な契約を結ぶ必要がある。