写真1●金色に輝く「不夜城」
写真1●金色に輝く「不夜城」
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 今回は、中国の上海と深センで“アキバ”と呼ばれる地区を紹介します。最初は、アキバのラジオ会館に相当する上海のデジモノ系商業施設「不夜城」です。まず目に飛び込むのは“金色に輝く”ビルの外観(写真1)。中国では、風水の影響で金色は金運を示し、商売繁盛の祈願を込めてよく使われているのです。

 内部は小さいお店がひしめき合っています(写真2)。中国ではこれが一般的な形式なのです。現状、ケータイ屋で埋め尽くされています。

 日本と違うのが“ケータイの部品”が売られていること(写真3)。中国ではケータイは高級品であるため、修理用の部品が売られています。店によっては、修理用の技術要員がその場で修理してくれます。

写真2●不夜城の内部
写真2●不夜城の内部
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写真3●ケータイの部品が並ぶ
写真3●ケータイの部品が並ぶ
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 深センが上海と違う点は、不夜城のような施設が何棟も密集しているところです(写真4)。まだ1区画しか建物はないようですが、秋葉原のようになるのかもしれません。

 その中の1つ「賽格広場」ビルをのぞいてみましょう。まず目に付くのは、ICをはじめ電子部品が豊富にそろっている点です(写真5)。上海は海外企業の中継基地であるため一般消費者をターゲットにしているのに対し、深センはベンチャーが多いため技術者向けの店舗が並んでいます。昔のアキバと同様、ハード系ベンチャーの力となっているのでしょう。

写真4●深センの電気街
写真4●深センの電気街
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写真5●賽格広場ビルの電子部品
写真5●賽格広場ビルの電子部品
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 このビルは10階建てで、下からICなどの電子部品、PCパーツ、メーカー製PC、アクセサリー類と各階で展示品が分かれています。中でもアクセサリー類は種類が豊富です。WebカメラやUSBグッズ、スピーカーにキーボードなどがトコロ狭しと並べられています

写真6●iPhone4もどき
写真6●iPhone4もどき
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 中国の電気街と言えば、山寨社(山賊の意味)の“iPhone4もどき”でしょう(写真6)。箱から待ち受け画面までiPhone4にそっくりなAndroidスマートフォンです。1台購入しましたが、中華製ガジェットの御多分にもれずタッチパネルの精度が悪い。しかし、それ以外の出来は初代Xperia相当の実力で、実用レベルに仕上がっています。ただ、iPhone4の形状にこだわったため、Androidとして本来必要な「戻る」ボタンがないのです。操作は困難を極めますが、ご愛敬でしょうか。

 値段は日本円にして1万5000円ほど。仕入れ額は数千円レベルでしょう。このレベルであれば、ちゃんとした低価格ブランドとして世界に挑めば、スマートフォン界のノキアとしてあっという間に席巻しそうです。

レポーター:今村のりつな
SIProp.org 代表/OESF CTO
PC系から新時代に移行するためのエコシステムを台湾の政府系研究機関で開発中。